
古便器コレクション常設展示
「デザイン性豊かな昔の便器」
【会場】 「世界のタイル博物館」 企画展示室
人目をはばかる空間で「ご不浄」とも呼ばれた昔のトイレ。
江戸時代末から明治にかけて、便器はそれまでの木製から、衛生的で耐久性のある陶磁器製に変わっていきました。染付で華麗に絵付けされたもの、青や緑の釉薬が縦に、横に流し掛けられたものなど、やきものならではの装飾が施された便器は、暗いトイレを華やかに飾ってきました。
当館には、非水洗式の大小便器、尿瓶やおまる、厠下駄など、陶磁器製のトイレコレクションが600点近くあります。今回は、釉薬や文様、形が多様で個性的な古便器や厠下駄を選りすぐって展示しました。また、主要7産地の便器を一堂にご覧いただける貴重な機会となっています。特に、高浜(愛知県)や赤坂(福岡県)、有田(佐賀県)といった現存数が少ない便器は必見です。原料や装飾、技術など、産地ごとに異なる特色を比較してご覧いただけます。さらに、女性も立ったまま用を足すことができる、口径部が広がった男女兼用の小便器や、香入れや釘穴隠しなどの工夫が施されている便器もお見逃しなく!
展示総点数:54点
〔内訳〕非水洗式の陶磁器製大便器:19点、小便器:26点、厠下駄:9点
※INAXライブミュージアムの古便器コレクションは、千羽他何之氏の蒐集品を母体としています。
- 展示風景
photo: 村山 直章 - 展示風景
photo: 村山 直章 - 展示風景
photo: 村山 直章 - 展示している厠下駄
photo: 村山 直章 - 染付と青磁釉の便器
photo: 村山 直章 - 赤坂の「掛分釉(青竹)朝顔形小便器 ≪陶器製、明治時代後期~大正時代≫
photo: 梶原 敏英 - 香入れ付きの「染付蓮池鷺(れんちさぎ)図小判形大便器 ≪瀬戸、陶器製、明治時代末期≫
photo: 梶原 敏英 - 展示風景
photo: 中村 和史