
寄神宗美展 「RE-CREATIONS」
東京:2019.01.18(Fri)~03.21(Thu)
展覧会について
LIXILギャラリーでは2019年1月18日(金)~3月21日(木・祝)の期間、寄神宗美展「RE-CREATIONS」を開催します。
寄神氏は京都出身で八木一夫に師事、1980年~1998年の18年間「走泥社」同人として制作をしています。「RE-CREATIONS」は1984年より続く作家の代表的な作品です。今展では陶の造形と木の造形を組み合わせた新作を含むオブジェ約8点を展示する予定です。満開の桜並木にかかる霞が立体的に表現された作品(表紙「Re-Creations 桜−1」)は、寄神氏の特徴である艶やかな大理石のような陶肌が、春の香りたつような雰囲気を表現しています。
「寄神宗美展 RE-CREATIONS」に寄せて
寄神宗美(よりがみ むねみ)氏の「RE-CREATIONS」とは、創って、壊して、焼いて、繋ぎ合わせて完成する作品を意味します。その誕生は、1983年の作品製作中に起こりました。かたちを整え、これから焼成という時に割れてしまったのです。ところが、割れた破片があまりに美しかったので、それらを別々に焼成して再度組み合わせたところ、なんとも魅力的な作品が誕生しました。
「RE-CREATIONS」は、この偶然から生まれましたが、それはやがて必然へと変わります。寄神氏は、八木一夫の工房にいた2年間は、ただ八木の手になることに徹しました。しかし独立後、この「RE-CREATIONS」と出合ったことによって、自分自身の手を獲得します。この出合によって、作家は大きな契機を迎えました。
「私の作品形体は概ね抽象形です。まず白雲土や磁土にて、手練り、タタラ、時には石膏型を使用したりして、かたちを作ります。順次そのかたちを整形し、乾燥させた後、細かいサンドペーパーで削って、更に整形して完全なかたちにしてから、研磨用の光沢のある石で表面を磨き上げ光らせ、それを数辺に割ります。これはどのように割れるかコントロール出来ません。そうして割れた破片を三つに分けそれぞれ、黒陶、白陶、窯変の窯に入れて焼成します。これが焼き上がるとそれらの破片を接着剤にて繋ぎ合わせて元のかたちに再生します。最後に表面の接着面の目地に石膏を埋めて仕上げます。このRE-CREATIONSにて人の手によって造形されるものと、自然の力が作用される事よって作り上げられるものによる調和が、この作品の神秘性と楽しさを与えてくれています。」
この文章は、作品成形の工程を語った寄神氏の言葉です。寄神氏は、1984年から現在まで、時折テーマを変えながら「RE-CREATIONS」シリーズを作り続けています。人類の歴史が破壊と再生を繰り返したように、寄神氏の作品も「解体」と「再生」を繰り返しながら展開していきます。
今展では、この「RE-CREATIONS」シリーズのほか、陶の造形と木の造形を組み合わせた新作が展示されます。満開の桜並木にかかる霞が立体的に表現された作品「Re-Creations 桜-1」は、寄神氏の特徴である艶やかな大理石のような陶肌が、春の香りたつような雰囲気を表現しています。素材である木が変われば、また作品の雰囲気も変わります。使用木材は、松、桜、欅(けやき)などです。木には不思議なパワーがあります。陶のパワーと木のパワーが融合して生み出される空気感が、この作品の魅力でもあります。
森 孝 一(美術評論家・日本陶磁協会常任理事)
- 2019年1月 会場風景
撮影:荻沼秀和 - 2019年1月 会場風景
撮影:荻沼秀和 - 2019年1月 会場風景
撮影:荻沼秀和
会期 | 2019年1月18日(金)~3月21日(木・祝) |
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休館日 | 水曜日、2019年2月24日(日) |
開館時間 | 10:00~18:00 |
企画制作 | 株式会社LIXIL |
入場料 | 無料 |
作家略歴
経歴 | |
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1944 | 京都市に生まれる |
1967 | 東京農業大学農学部造園学科卒業 |
1969 | 八木一夫に師事(~1972) |
1980 | 走泥社 同人となる |
社団法人日本クラフトデザイン協会に加入 | |
1994 | 平安遷都1200年京都屋外陶芸展’94 実行委員長(梅小路公園/京都) |
1998 | 走泥社解散 |
岡山県立大学デザイン学部大学院 非常勤講師を勤める(~2000) | |
2000 | 嵯峨美術短期大学美術学部陶芸科 非常勤講師を勤める |
京都市立芸術大学彫刻科 非常勤講師を勤める(~2004) | |
2015 | 中国湖北美術学院 客員教授(中国・武漢 ~現在) |
作家活動 | |
1980 | 走泥社展出品、以後、毎年出品(京都) |
1984 | 朝日陶芸展出品(名古屋) |
1985 | 朝日クラフト展出品(大阪) |
1986-89 | 八木一夫賞 現代陶芸展 (1987優秀賞)(東京、大阪) |
1989 | 「今日のクレイワーク」展(神奈川県民ホール/神奈川) |
第41回京都美術工芸展 優秀賞(京都府文化博物館/京都) | |
「土の造形」展(栃木県立美術館/栃木) | |
日韓青年陶芸展(錦湖美術館/ソウル、韓国) | |
1991 | 第47回ファエンツァ国際陶芸展 金賞(イタリア) |
セラミック・フォーラム京都’91(京都伝統産業ふれあい館/京都) | |
1992 | 第1回カイロ国際陶芸展(カイロ、エジプト) |
ジェニングス陶芸展 優秀賞(メルボルン、オーストラリア) | |
現代陶芸国際激請展 グランプリ(国立歴史博物館/中華民国) | |
1993 | 「現代の陶芸:1950-1990」展(愛知県美術館/愛知) |
1994 | 国際陶芸博覧会(台北、中華民国)/京都野外陶芸展’94(梅小路公園/京都) |
1995 | 「ファエンツァの風」(土岐、岐阜) |
1996 | 第10回京都在住現代陶芸家展(大丸百貨店/京都) |
世界・炎の博覧会 ストリート・ファニチャー展(佐賀) | |
1997 | 「ART SESSION IN 安楽寺」(安楽寺/東山、京都) |
1999 | 第5回国際陶磁器展美濃’99 銅賞(岐阜) |
2000 | 「VIVA20C 20世紀の物質と映像のデザイン」展(日本デザインコミッティー主催) |
NHK BS「やきもの探訪」寄神宗美―破片に生命が通う-出演 /訪問者 建築家・吉村篤一氏 | |
2001 | 「京都の工芸(1945-2000)」(京都国立近代美術館、東京国立近代美術館) |
2002 | 「現代陶芸の100年展:日本陶芸の展開」(岐阜県現代陶芸美術館/岐阜) |
2007 | 清洲国際工芸ビエンナーレ 招待(清州、韓国) |
2009 | 京畿道世界陶磁ビエンナーレ(韓国) |
2012 | 大型陶磁ワークショップ in KOREA(壇国大学/韓国) |
2016 | ‘16杭州国際陶磁ビエンナーレ(中国美術学院/中国) |
2017 | ‘17杭州国際クラフト会議(中国美術学院/中国) |
2018 | 国際現代陶芸展(北京精華大学/中国) |