展覧会/イベント

写真: (c)Iwan Baan


新型コロナウィルス感染拡大防止のため、お客様の安全を最優先とし
本展覧会を中止とさせていただきました。

同テーマの伊東豊雄建築設計事務所主催の展覧会が「座・高円寺(2020.7.1~8.16)」で開催されます。
展覧会詳細:
https://za-koenji.jp/detail/index.php?id=2342



LIXILギャラリー企画「クリエイションの未来展」について
LIXILギャラリーでは、日本の建築・美術界を牽引する4人のクリエイター、清水敏男(アートディレクター)、宮田亮平(金工作家)、伊東豊雄(建築家)、隈研吾(建築家)を監修者に迎え、独自のテーマで現在進行形の考えを具現化した「クリエイションの未来展」を開催しています。
「クリエイションの未来展」第 22回目となる本展では、建築家の伊東豊雄氏監修による「公共建築はみんなの家である」を開催します。


展覧会について
「クリエイションの未来展」第22回目となる本展では、伊東豊雄氏監修による「公共建築はみんなの家である」を開催いたします。
90年代から数多くの公共建築を手がけてきた伊東豊雄氏は、東日本大震災や熊本地震などの被災地に於いては、住民の要望をベースに、ともに集い憩いの場となる「みんなの家」を実現するなど、つねに公共のあるべき建築の姿を考え実践してきました。
伊東氏は、これからの公共建築は、機能で分割された空間によって人の活動が制約されるのではなく、「みんなの家」のように利用者主体で考えられ、あらゆる人が、まるで自然の中で過ごすように自由に主体的に活動できるものでなくてはならないといいます。
「公共建築はみんなの家である」と題する本展では、伊東氏が設計した4つの公共施設「せんだいメディアテーク」「まつもと市民芸術館」「座・高円寺」「みんなの森 ぎふメディアコスモス」の各館のキーパーソンへのインタビューや利用者へのアンケートなどにより、各館が開館から時を経た現在、どのような場となっているかを浮かび上がらせ、公共建築の使われ方の実態をご紹介します。あわせて、伊東氏が現在取り組んでいる大阪府茨木市のホール、図書館、子育て支援センターなどを含む複合施設のプロジェクトをご紹介し、伊東氏が描く次の公共建築を展望します。
本展を通じて、今日の公共建築の意義とこれからのあるべき姿を考える機会となれば幸いです。


監修者からのメッセージ

公共建築はみんなの家である

■私達は30年に亘って国内外の公共建築の設計に携わってきました。当初、「西欧では公共建築に関わらない建築家は建築家として認められない」といった言葉を信じ、公共建築の設計に関わることに固執していました。
 しかしいざ参加してみると、次第に日本の公共建築の問題が明確に浮かび上がってきました。管理意識が強く、利用者にとっては必ずしも望ましい建築がつくられていないと気付いたのです。では利用者にとって望ましい建築とはどのような建築でしょうか。

■利用者にとって望ましい建築とは、毎日でも行きたくなる建築です、毎日でも行きたくなるのは、行くのが楽しい建築、居心地の良い建築だからです。
 しかし我が国の公共建築は、利用者にとって楽しい建築、居心地の良い建築をつくろうとするよりも機能的な建築、管理しやすい建築をつくろうとする傾向が強いように感じられます。
 「機能」という概念は20世紀以来の近代主義建築にとってきわめて重要な言葉です。「機能」は機械を構成する部品の性能とか効率のようなもののはたらきを指す概念です。
 建築における機能概念は、機械部品のように人々の活動を分割して、それぞれに特化した空間に振り分け、活動別に人々をその空間に入れ込もうとしてしまうのです。
 しかし人々の多様な活動を機械部品のように要素に分割し、その組み合わせと考えるのは科学技術に頼る西欧近代主義的思想に他なりません。そうした方法から楽しい空間や居心地の良い空間が生まれるとは思われません。楽しさや心地良さは人間の身体感覚に基づく性質であり、決して機能毎に分割された空間(部屋)から得られるのではありません。

■人は屋外、即ち自然の中では機能によって自らの活動を制限されることはありません。自然の中にはさまざまな変化に富んだ場所があります。明るい場所、暗い場所、乾いた場所、じめじめした場所、広い場所、狭い場所等々...。
 自然の中で人々は、自分の活動の場所を自由に選ぶことが出来ます。例えば読書をしたい時、人は木陰のベンチで読書することも出来れば、芝生に寝転がって読書することも出来ます。我々は自然の中で読書するような図書館をつくりたいと考えてきました。即ち、建築の内にいても特定の部屋に居ることを強要されるのではなく、自然の中にいるようにさまざまな場所を自由に選ぶことが出来る建築、母子も高齢者も一緒にいることが出来る、子供も好き勝手に走り回ることが出来る、そんな公共建築をつくりたいと考えてきました。

■私達がこれまで携わってきた公共建築の多くは日々沢山の人々で賑わっています。その賑いは自由に振る舞える場所をつくろうとしてきたからだと信じています。機能にとらわれた部屋に分けてしまうことを極力避けようとしてきたからだと思います。
私達のつくってきた公共建築の多くで壁が少ないのは、部屋に分節されない流動的な空間の中に、変化に富んだ場所をつくろうと考えたからです。
その結果そのような賑わいの空間では、幼児、主婦、ビジネスマン、学生、高齢者など多くの人々が自由にそれぞれの居場所を定めることが容易になりました。混在している様子はまるでゆるやかで、大きな家族の姿を想わせます。
私達は東日本大震災や熊本地震後の被災地等で数多くの「みんなの家」を実現してきました。「みんなの家」は仮設住宅団地を中心に近隣の人々が集まって話し合いや食事をしたり、各種イベントなどの場として活用されています。「みんなの家」は従来の公共施設のように自治体が内容を予め設定するのではなく、利用者自身が話し合い、利用者の要望をベースにつくられてきました。これからの公共建築は「みんなの家」のように利用者主体に考えられなくてはならないと思います。

■今回の展覧会では、私達がこれまでに設計した4つの公共建築を取り上げ、それらがいかに利用されているかを追求してみました。
とりわけ館長や芸術監督にインタビューを試み、どのように賑わいを生み出そうとしているかを語ってもらいました。また利用者やスタッフの人達にもインタビューやアンケートを通じて、実態に迫ろうとしました。こうした試みからこれからの公共建築のあるべき姿を浮かび上がらせたいと考えます。


伊東豊雄(建築家)

  • せんだいメディアテーク
  • まつもと市民芸術館
  • 座・高円寺
  • せんだいメディアテーク
  • まつもと市民芸術館
  • 座・高円寺
会期 2020年4月16日(木)~6月30日(火)
開館時間 10:00~18:00
休館日 水曜日、2020年5月24日(日)
入場料 無料

監修者について

伊東豊雄

1941年生まれ。65年東京大学工学部建築学科卒業。65~69年菊竹清訓建築設計事務所勤務。71年アーバンロボット設立。79年伊東豊雄建築設計事務所に改称。
主な作品に「シルバーハット」(東京)、「八代市立博物館」(熊本)、「大館樹海ドーム」(秋田)、「せんだいメディアテーク」(宮城)、「まつもと市民芸術館」(長野)、「多摩美術大学図書館(八王子)」(東京)、「座・高円寺」(東京)、「みんなの森 ぎふメディアコスモス」(岐阜)、「バロック・インターナショナルミュージアム・プエブラ」(メキシコ)、「台中国家歌劇院」(台湾)、「新青森県総合運動公園陸上競技場」(青森)など。現在、「水戸市新市民会館」(茨城)、「茨木市市民会館跡地エリア整備事業」(大阪)などが進行中。
日本建築学会賞(作品賞、大賞)、ヴェネチア・ビエンナーレ金獅子賞、王立英国建築家協会(RIBA)ロイヤルゴールドメダル、朝日賞、高松宮殿下記念世界文化賞、プリツカー建築賞、UIAゴールドメダルなど受賞。
東日本大震災後、仮設住宅における住民の憩いの場として提案した「みんなの家」は、16軒完成。2016年の熊本地震では、くまもとアートポリスのコミッショナーとして「みんなの家のある仮設住宅」づくりを進め、100棟近くが整備された。
2011年に私塾「伊東建築塾」を設立。これからのまちや建築を考える場として様々な活動を行っている。また、自身のミュージアムが建つ愛媛県今治市大三島においては、塾生有志や地域の人々とともに継続的なまちづくりの活動に取り組んでいる。

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