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建築を彩るテキスタイル<br>──川島織物の美と技

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建築を彩るテキスタイル
──川島織物の美と技

本体価格 1,800円
体裁 A4判変型・並製・80頁
ISBN
978-4-86480-501-8

2012年09月発行

経糸(たていと)と緯糸(よこいと)でさまざまな世界を描き出す織物は、明治から昭和初期の日本を支える基幹産業として重要な役割を果たしてきた。川島織物の創業は1843(天保14)年。初代が京都で呉服悉皆(しっかい)業を開業、その後を引き継いだ二代川島甚兵衞(1853-1910)は、その間に先んじて織物による空間づくりに取り組み、今まで主に衣服に用いられてきた染織品を室内装飾に用いたのである。
本書では、織物の用途を一気に拡大した二代川島甚兵衞の功績と、現在まで連綿と続くものづくりの現場を図版豊富に紹介しながら、染織品に秘められた美と技を再考する。二代甚兵衞が研究のため国内外で蒐集した裂地や装束などの貴重な資料も掲載し、国内初のショールーム「織物参考館」の試みも披露。また、彼が尽力したセントルイス万博の「若冲の間」(明治37年)を誌上で再現。伊藤若冲による「動植綵絵」より15面を選び、綴織で壁面装飾した幻の室内空間を、展開図や古写真などで詳細にひもときながら、国内の技術と海外の趣向とを盛り合わせた日本式室内装飾の集大成を伝える。人物像や当時の時代背景、西陣という産地の特長などは、京都を拠点に活動するノンフィクション作家の菊池昌治氏が情景豊かに描き上げた。


■目次

□テキスタイルによる日本式の装飾
室内装飾の嚆矢 菊池昌治

□黎明 川島甚兵衞と絹織物
初代川島甚兵衞一代記

□飛翔 二代川島甚兵衞
二代川島甚兵衞とその時代 菊池昌治

□創造のアーカイブ
染織の粋/帯──装飾の核心/羽織裏地の遊び

□室内装飾探訪
若冲の間 セントルイス万国博覧会
百花百鳥の間 リエージュ万国博覧会
日本の間 ハーグ平和宮殿
──世界が称賛した綴織 森克己
泉布観
──明治天皇と泉布観 酒井一光

□川島甚兵衞の図案創出
図案家 神坂雪佳氏談
タピスリーの表現性 板倉寿郎
川島織物にみる「古風」と「今様」 切畑健

現代に残る遺伝子 撮影=十文字美信

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