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現代建築家コンセプト・シリーズ12<br>石川初|ランドスケール・ブック──地上へのまなざし

現代建築家コンセプト・シリーズ

現代建築家コンセプト・シリーズ12
石川初|ランドスケール・ブック──地上へのまなざし

本体価格 1,800円
体裁 A5判・並製・144頁
Japanese/English
ISBN
978-4-86480-001-3

2012年09月発行

近年、東京という都市のなりたちを100万年の単位でとらえ、足下の地形への感覚を新鮮に甦らせる仕事が注目を集めている。また、その地形の上に立つ「団地」や「工場」「巨大ジャンクション」など、近代都市の営みを愛おしむまなざしが共感を呼んでいる。これらは私たちに21世紀的な都市の見方、感じ方、楽しみ方を提示し、その上に建つ建築のあり様をも問いかける。
本書では、ランドスケープアーキテクト石川初(いしかわはじめ)のフィールドワークの視点を紹介。私たちが日常を過ごしている街、行ったことのある都市、知っている世界も視点やスケールを変えて見ると、そのたびに鮮やかに、異なる姿をして現われる。「地形」「地図」「時間」「境界」「庭」のキーワードをもとに、都市の新しい読み解き方や発見の方法を探る一冊。日英バイリンガル。


■目次

序 YOU ARE HERE──自分の位置をマッピングすること

第1章 地形のスケール
等高線の彩色、地形を擦り出す地図/アナログなデジタル化──コンター模型/平野の由来/モザイク地形──地面の都市化/ニュータウンの丘陵/構造物の「地形認定」/地面の年輪/歴史的痕跡としての微地形/ジャンクション/地形としての埋立地/地面の不可視化と地形の憑依/水の都市、水の自然/散水システムと排水システム/国分寺崖線/生存単位としての流域/冬の地形/地形を眺める速度/用水路の孤独/身体の運用に現われる地形/残存する微勾配

第2章 地図のスケール
地図のルール、地面のルール/地下鉄の地図、インフォグラフィクス、皇居の表示/路線図がもたらす都市の地理感覚/鉄道と道路──つり革の都市と美空間/ナビゲーションとマッピング/日常のログ、地面の記録/GPSログの逸脱/ネコログ/時層地図──現在地、現在時間/ダイアグラムと地理──バスの路線図/どこにでもありそうな、どこにもない街/「地図にないもの」の地図/さまざまな地図、ひとつの場所/ひとつの地図、さまざまな場所/See something or say something/制度としての空中に残る道路/軌跡ログに表われるインフラのスケールと速度/地上のスケール──実寸の地図/表示範囲の枠の大きさとしての地図の縮尺/農地──地形コンシャスな土地利用

第3章 時間のスケール
地質学的時間感覚/温室が作る時間/園芸の楽しみ──時間芸/植物の「時差ボケ」が映し出す、遠い原産地の季節/ソメイヨシノの時間/音声散歩「15分前の街」/時層写真/時間の単位、時間の形/ブランコの時間性/「徒歩20分」、距離を時間に置き換えて共有する/現況植生図が示すもの/地図の時間/早回しの干潟としての下水処理場/変わらない風景に託した記憶/時間の地形グラフ/時空時間/素材と構造の時間の齟齬/なぜ古いものは深く埋まっているか/正しい時刻、動かない時計/Triptrop NYC。時間のマッピング

第4章 境界のスケール
境界を持った領域としての「水平な床」/地球上のさまざまな「水平」/外部から見た都市/生け垣──たゆまぬ境界の維持/私道の論理──オープン外構を支えるクローズド街区/都心の里山──原宿駅の林緑部/ベンチの周辺性/乗り換えのバリア/境界線のマーキングとしてのペットボトル/帰化植物/静かな、生温い共有関係/小規模な仮設建築としての傘/夜景としての都市/ランドマーク──東京スカイツリー/空調──電気仕掛けの防波堤/雨がかからない領域/蚊のセキュリティ──網戸について/「黄色い線の内側」について/移動する身体と荷物/免震という境界

第5章 庭のスケール
都営スタイル/パーソナル・ナショナルガーデン/裏庭のコミュニティ/植栽基盤単位としての植木鉢/原風景の陥穽/7人の小人問題/ガーデニング──自然との終わりなき葛藤と屋外空間の「最適化」/「人工地形」が封印する土地の歴史/森という「外部」/「消えた園芸植栽図鑑」/シマトネリコの時代/地震への身構えによる地面との接続/農地の多様性、周辺環境の多様性/工場を観賞するように/テーマパークとしての緑化都市/風景の切実さと個人的な時間/取るに足らないものたちの観賞ガイド


■関連記事

[特集]刊行記念特集:石川初『ランドスケール・ブック』、吉村靖孝『ビヘイヴィアとプロトコル』
http://10plus1.jp/monthly/2012/11/


刊行記念対談:都市、建築、そのスケールとプロトコル
石川初(ランドスケープアーキテクト)+吉村靖孝(建築家)

地上の唯物論(石川初『ランドスケール・ブック──地上へのまなざし』書評)
日埜直彦(建築家)

社会と建築をつなぐ「もうひとつの詩」(吉村靖孝『ビヘイヴィアとプロトコル』書評)
長谷川豪(建築家)

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