多くの植物は子孫を残すために種子をつくります。身近すぎてなかなかじっくりと目にすることのない種子ですが、そのかたちはじつに多様で、見た目にも楽しく、なぜこのような形態をとるようになったのかと不思議に思えるものも少なくありません。実はその姿は、自らは動けない植物が広範に子孫を残し、生き残っていくための巧みな戦略のあらわれなのです。
本書では、身近なものから海外の見たことのないような種子のディテールまで、丁寧に撮り下ろした写真を掲載し、理にかなったかたちの美しさと、そこから浮き彫りになる植物たちの繰り広げてきたサバイバル作戦を紹介します。次世代への旅支度、種子の形態に秘められた植物たちの慎ましくもたくましい知恵に触れることのできる一冊。
■目次
□風に乗って旅をする
□漂流する冒険者たち
□動物との巧みな駆け引き
果実の論理──ボクが木の実ならこう考える 岡本素治
葉っぱを工夫した種子の旅支度 小林正明
時空を超える旅人 脇山桃子