世界のタイル事典 no.10
『ウィリアム・ド・モーガンのタイル』

19世紀後半につくられたウィリアム・ド・モーガンのタイルをご紹介します。
19世紀後半のイギリスでは、急激に加速する工業化社会を危惧し、かつての手工芸に芸術的価値を求める、アーツ・アンド・クラフツ運動が展開します。
それを提唱した芸術家のひとりがウィリアム・ド・モーガンで、彼は家具などをデザインする一方、図柄を自らデザインしたオリジナルのタイルを制作。さらに生産効率を備えた“手描き転写”という技法を編み出し、同じデザインを組み合わせ、一枚もののような効果を生み出すタイルを量産することに成功します。
写真は、手描き転写による多彩草花文タイルの12枚張りです。
ド・モーガンが好んだ16世紀のトルコ・イズニックタイルの特徴を模したデザイン。彼のタイルは一般の住宅で使用するには高価なものでしたが、中流階級の間で人気を博し、今も、その手づくりの美しさがイギリスの人々を魅了しています。

[INAX REPORT No.189より転載] ■掲載誌面PDFをダウンロード