世界のタイル事典 no.6
『錫釉色絵タイルの回帰』

16世紀頃からスペインでつくられた「スパニッシュ・マジョリカタイル」をご紹介します。
近世のヨーロッパを代表するやきもの、イタリア・マジョリカタイルに由来します。このタイルは錫釉色絵のタイルで、錫を加えた釉薬で下地を白く化粧掛けし、色を鮮やかに発色させる技法でつくられています。
この技法は白色の原料に恵まれなかったイスラームの陶工が考案したといわれ、18世紀頃のスペインでは、さまざまな手描きのタイルが盛んにつくられました。
写真は、錫釉色絵タイルを12枚組み合わせた組絵タイルです。キューピッド、楯、冠、花飾り、紋章などが描かれ、戸外の壁にはめ込まれ、使用されました。

[INAX REPORT No.184 より転載] ■掲載誌面PDFをダウンロード