イスラーム
7世紀のアラビア半島を起点として、短期間に広大な地域に拡がったイスラーム文化。灼熱の砂漠など厳しい風土の中で生き抜くために、人々がよりどころとした神への信仰の気持ちから、「装飾する魂」が萌芽し、幾何学模様を極めた装飾の宇宙を、礼拝の場であるモスクなどの宗教施設や王侯貴族の居館に展開した。最も長い歴史を持つイスラーム文化圏では、今も往時のタイルが残り、タイル装飾の技術と細工の極致に、来訪者の驚きと感嘆が絶えない。
ラスター彩獣文星形タイル
イラン(13~14世紀)
205×210×14(mm)
星や十字形などのタイルを組み合わせてモスクなどの壁面を飾った。表面には金属的な輝きを持つラスター彩が施されている。
藍地多彩チューリップ文タイル
トルコ、イズニック(16世紀後期)
96×146×15(mm)
オスマン・トルコ帝国時代に建てられた宮殿などの壁面を美しく飾っている。赤・青・白の対比が特徴的。
多彩謁見図組絵タイル
イラン(19世紀)
1390×925(mm)
イスラーム教の戒律が厳しい宗教施設では偶像崇拝が禁止されていたが、宮殿などそれ以外の建物には、物語に登場する人物や動物などが色鮮やかに描かれた。