天然黒ぐろ
──鉄と炭素のものがたり
基本情報
発行日 | 2017年12月 |
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定価 | 1,650円(本体1,500円) |
体裁 | B5判、並製、64頁、和文 |
ISBN | 978-4-86480-913-9 |
書籍内容
黒塗りの車、黒の礼服。黒は力強さや権威を象徴する色です。何も見えない真っ暗な様を「漆黒の闇」と表すように、黒は不吉な負のイメージも備えています。一方で現代の暮らしのなかでは、黒の衣服や道具類はシックなイメージを与えます。さらに金や赤と組み合わせた黒は、華やかさを強調する役割を果たしていきます。
人類が古くからモノを「黒く見せたい」と考えたとき使ってきた黒色の素が、煤(炭素)、鉄(酸化鉄や鉄イオン)です。これらの「黒」は紫外線に強く、時の経過による退色も少ないため、縄文時代から現在に至るまで黒の素として主流であり続けています。
この本では、暮らしのなかで愛されてきた「黒」と、その色素となる、炭素と鉄に焦点を当てます。1万年以上の歴史をもつ、やきもの、漆、染織、墨、絵具など、これらを「より黒く」するためどのような試みを続けてきたでしょうか。単純にして容易ではない、「真っ黒」にする術。黒に挑むつくり手の思いや技を見ながら、それぞれの多様な「黒さ」を見ていきます。
目次
- 日本人と黒 阪井芳貴(名古屋市立大学大学院教授)
- 墨 松井孝成(墨運堂)
- 油絵具 小杉弘明(ホルベイン工業)
- 染色 高橋誠一郎(田中直染料店)
- やきもの
- 黒茶碗 加藤亮太郎
- 黒楽の登場、利休はなぜ長次郎の黒楽茶碗を使ったのか 田中仙堂(大日本茶道学会会長)
- 黒いやきものの登場と流行 降矢哲男(京都国立博物館工芸室研究員)
- 漆
- 漆精製 堤卓也(堤淺吉漆店)
- 髹漆 小森邦衛(重要無形文化財「髹漆」保持者)
- 蠟色 大橋清(呂色師)
- 蒔絵 室瀬和美(重要無形文化財「蒔絵」保持者)
- 漆、黒の事件史 北野信彦(龍谷大学文学部教授)