19世紀にイギリスでつくられた象嵌タイルをご紹介します。
このタイルは13世紀頃につくられた象嵌タイルをゴシック・リバイバルに伴い復刻したものです。ベースのタイル生地の表面に、約1mmのベースとは異なる色の粘土を嵌め込んで模様を表現しているのが特徴です。
成形方法は、湿式成形法と乾式成形法の2つあり、19世紀中頃には機械生産が可能になったことから、多色で精緻な図柄のタイルが登場しました。
当時の女王の名前から“ヴィクトリアン・タイル”とも呼ばれ、イギリスのタイル文化を築いたと言われています。
写真は、14世紀の象嵌タイルに多用されたバラのデザインを19世紀に再現したものです。4枚並べると十字形の模様が浮かび上がり、星形と十字の組み合わせになるなど、単体とは異なる魅力を醸し出しています。
[INAX REPORT No.186 より転載]
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