INAXライブミュージアム 世界のタイル博物館 INAX TILE MUSEUM

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企画展(1階 企画展示室:入場券必要)

中谷宇吉郎の森羅万象帖 展
Ukichiro Nakaya: Pursuit of the Physics of Form, Investigating Nature's Habits

2013年6月22日(土)〜8月20日(火)
■ニュースリリースはこちら⇒



「雪は天から送られた手紙である」という有名な言葉で知られる科学者・中谷宇吉郎(1900〜62年)は、雪の結晶の美しさに魅せられ、世界で初めて人工雪の結晶をつくることに成功した人物です。
宇吉郎は、雪・霜、霧・氷を追って、北海道から極北のグリーンランドまでフィールドを駆け巡り、雪氷学の基礎を築きました。
本展では、随筆家でもあった宇吉郎の言葉を道しるべに、自然現象を捉えた写真、スケッチ、科学映画など宇吉郎や彼の研究室が残した貴重な資料を中心にその軌跡を辿りながら、宇吉郎の科学に対する姿勢や自然に対する眼差しを浮き彫りにします。

会 期 2013年6月22日(土)〜8月20日(火)
会 場

「世界のタイル博物館」企画展示室

開館時間 10:00am 〜 5:00pm
(入場は4:30pmまで)
休館日 第3水曜日
入 場 共通入館券が必要
夏休み・子ども向けワークショップ 「ひんやり きれい!“雪と氷”のふしぎ実験」
■開催報告はこちら⇒

企画:LIXILギャラリー企画委員会
協力:中谷宇吉郎 雪の科学館(石川県加賀市)、中谷芙二子(PROCESSART Inc.)、U.N.Limited
展示デザイン:稲垣立男(株式会社I plus N)

※本展覧会は、2013年3月〜5月にLIXILギャラリー・大阪会場で開催したものです。ライブミュージアムは「土・水・火」をコンセプトに活動しており、“雪・氷”がテーマの本展を特別に巡回することにしました。9月には、LIXILギャラリー・東京会場での開催が予定されています。


憧憬の心で向き合う
自然の神秘
科学者・宇吉郎の軌跡をたどる


「森羅万象帖」とは、北海道大学に赴任(1930年)した中谷宇吉郎が、生涯の師として敬愛した寺田寅彦の下で行われていた雑誌会に倣い、学生たちを啓発するために作り始めたアルバムです。
宇吉郎と学生たちは、このアルバムに日常の不思議な現象の写真を貼り付け、ともに活発な議論を行いました。




自然と謙虚に向き合い、その不思議や神秘を解き明かしていく科学者・中谷宇吉郎の姿勢は、寺田の教えが礎となっています。
本展では、宇吉郎の研究を年代順に紹介します。
寺田寅彦の下で研究した火花放電に始まり、北海道赴任中の風土に根ざした雪の研究や、その成果を活かした「凍上問題」や「着氷防止」など、雪国の問題を解決するための研究、そして渡米後の氷の研究に至ります。




宇吉郎は「観察の武器」として写真を多用しました。
宇吉郎が残した写真から、私たちは宇吉郎が捉えた様々な自然現象を見ることができます。
その他、親しみの持てる言葉で書かれた、たくさんの随筆や科学映画製作の仕事も紹介します。
各コーナーには宇吉郎の言葉を配し、自然の神秘に純粋に驚嘆し、その神秘を紐解くことで自然の美しさを真に理解しようとした科学者の姿勢を伝えます。


イギリスでの留学後、旅行先のベルリンで購入したライカ。
以後このカメラで自然の造形の妙を数多く撮影した。
資料提供=中谷芙二子(PROCESSART Inc.)、撮影=佐治康生



見どころ
@空中に咲く火の花 〜 火花放電の写真
火花放電は、東大卒業後、理化学研究所の寺田研究室で行なった研究です(1925年)。
写真を使った実験で、宇吉郎は3年間に撮影した約3,000枚の写真から一部を紹介します。
自然現象がつくる摩訶不思議な形をご覧いただけます。

A空に舞う雪の華 〜 天然・人工雪の結晶のアルバム、スケッチ、112点のガラス乾板レプリカ
写真撮影の拠点にした十勝岳では、雪の結晶の種類が多く、世界でも珍しい結晶が降ります。宇吉郎は極寒の中で約3,000枚の結晶の写真を撮影し、北大の常時低温研究室では世界初の人工雪の製作に成功しました(1936年)。宇吉郎は雪の結晶のメカニズムを明らかにし、冒頭の「雪は天から送られた手紙である」の言葉を、雪華の絵とともに墨書しました。研究の過程を記した直筆のスケッチのほか、研究資料に残された、研究の足跡と様々な雪の結晶の形をご覧いただけます。

B氷に咲く花々 〜 チンダル像・空像のアルバム、氷のコラージュ写真
1952年に渡米した宇吉郎は氷の研究に従事します。
「チンダル像」とは、氷に光を当てたときに内部の何点かの核から融けてできる雪花の形で、「アイスフラワー」とも呼ばれ、その中身は水と真空の泡(水蒸気は含む)です。
その氷を再び凍らせたとき、真空の泡が氷中に残ったものを「空像」といいます。
会場では、宇吉郎が実験でつくったチンダル像の写真アルバムや、単結晶の氷に見られる粘弾性を可視化した氷のコラージュ写真などを展示します。
学者としての宇吉郎のひた向きな研究姿勢をうかがいながら、自然の不思議な現象をご覧ください。

C科学映画の製作〜「Snow Crystals」他
科学映画の先駆者として宇吉郎が製作に携わった「Snow Crystals」(1939年、東宝映画社)の一部を上映予定です。
音楽はゴジラ映画に携わった伊福部昭。あわせて、宇吉郎らが設立した岩波映画製作所による科学映画シリーズ「雪の結晶」(1959年)を全編上映予定です。
これらの映画から、現象の面白さ、不思議さに触れることができます。


宇吉郎は撮影した結晶の写真をきれいに切り抜き、アルバムに貼って記録した。天然雪、人工雪合わせて、アルバムは二十数冊が現存する。
所蔵=中谷宇吉郎 雪の科学館

実験でつくったチンダル像の写真は、何冊ものアルバムに整理されている。
所蔵=中谷芙二子(PROCESSART Inc.)、撮影=いずれも、佐治康生


展示にあたり、中谷宇吉郎 雪の科学館(石川県加賀市)、中谷芙二子氏(PROCESSART Inc.)をはじめ関係の皆様には多大なるご協力を賜りました。この場をかりて厚くお礼申し上げます。


■展覧会でご紹介している展示品目をリストでご紹介します。
展示品目リスト pdf_icon_s.gif PDF 424KB
※ご覧いただくにはAdobe Reader が必要です。


【関連書籍のご案内】

『中谷宇吉郎の森羅万象帖』


2013年3月15日発行
本文80ページ内カラー28ページ、A4判変型(210mm×205mm)、並製
定価:1890円(税込)  LIXIL出版

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