4月の作家は、京都市在住の新宮さやかさんです。
新宮さんの作品は、植物の形をした黒い陶のオブジェです。黒く乾き枯れ朽ちた色合いとは相反して、針状に埋め尽くされた花芯が風になびくようにダイナミックにうねり、強い生命力を感じさせます。
会期 |
2011年4月9日(土)〜5月8日(日) |
時間 |
10:00AM〜5:00PM(入館は4:30PMまで) |
会場 |
世界のタイル博物館 企画展示室
※展示会場は「世界のタイル博物館」のみとなりましたのでご注意ください |
休館日 |
4月20日(水) |
作家によるアーティスト トーク |
4月9日(土) 4:00pm〜5:00pm ※オープニング パーティーは、東北地方太平洋沖地震の発生と、それに伴う諸般の事情に鑑み、中止致します。 ご理解・ご了承ください。 |
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ドライフラワーのように黒く乾いた色合いの陶の花が、大輪を開いて会場に咲いています。一見枯れて見えるそれらの花は、豊富な花芯が勢いよく渦巻き、吸い込まれそうな迫力と艶やかさを放っています。生と死の両面をイメージさせる不思議な作品です。
植物をモチーフにしているものの、「自然に勝る造形はない」と新宮さん。ただ具象化するのではなく、誰もがさまざまな想いを投影しやすい身近なモチーフとして植物というかたちを借りています。柔らかく触れてつくることのできる土を媒介にすることで、作品に枯れて朽ち果ててしまった時間と同時にリアルな「触感」を込めています。
新宮さんは、枯れて蝕まれていくイメージを、儚さではなく強い存在感で表現したいと追及した結果、「黒」にたどり着きました。黒一色ですが、半磁土に混ぜる黒の顔料の比率を変えることでみせる墨のグラデーションもまた美しい作品です。
針状に埋め尽くされた花芯は、一本一本手で土を針状にしたものを何千本何万本とつくり、隙間なくびっしりと、乾かないうちに張りつけていきます。
「何か、ものがつくりたかった。」新宮さんは、大阪芸術大学芸術学部工芸学科で陶芸を学びますが、その時には楽しさが見出せず、卒業後2年間は作陶から遠ざかっていました。その後、滋賀県立陶芸の森で半年間自由に制作したことを契機に、柔らかなかたち、感触的な作品をつくる素材として、土で制作する醍醐味を感じるようになったと言います。以降、公募展に応募するなど積極的に作品を発表しています。
東海では初の個展となる本展では、50cm前後の作品6点と30-40cm程度の作品2点に、床置きのセット作品1点を加えた、新旧作合計9点を展示しています。
黒一色でありながら、生命力あふれる艶やかな存在感を放つ新宮さんの作品を、ぜひ会場でご覧ください。
[SHINGU Sayaka プロフィール] |
1979年 |
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大阪府生まれ |
2001年 |
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大阪芸術大学芸術学部工芸学科陶芸コース卒業 |
2003年 |
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滋賀県立陶芸の森 創作研修館にて半年間作陶
現在、京都にて作陶 |
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[個展] |
2005年 |
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ギャラリーマロニエ4(京都) |
2006年 |
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ギャラリーマロニエ4(京都) |
2007年 |
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立体ギャラリー射手座(京都) |
2010年 |
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INAXガレリアセラミカ(東京)、SILVER SHELL(東京)、Gallery Suchi(東京) |
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[グループ展] |
2004年 |
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第42回朝日陶芸展 |
2006年 |
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CONTACT act5 日韓若手陶芸作家交流展(ギャラリーカク/ソウル)、第44回朝日陶芸展 |
2007年 |
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thing matter time(信濃橋画廊/大阪) |
2008年 |
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京都工芸ビエンナーレ(京都文化博物館/京都)、わかもん展(ギャラリー陶彩/東京) |
2010年 |
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Gallery Suchiオープニング展(東京)、INAXガレリアセラミカの夏―器・小さなオブジェ・道具たち展(東京)、+PLUS トウキョウ・コンテンポラリーアートフェア(東京) |
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[受賞] |
2004年 |
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第42回 朝日陶芸展〈入選〉 |
2006年 |
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第44回 朝日陶芸展〈入選〉 |
2008年 |
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京都工芸ビエンナーレ〈入選〉 |
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