2008年7月の作家は、広島市在住の畑 絢子(はた じゅんこ)さんです。
この世ではないどこかに咲く白い花の群が、月明かりのような白光に照らされて青く白く咲き乱れ、かすかな風にたゆたう――そんな真夏の世の夢のような、幻想的な光景が会場に出現します。
会期 |
2008年7月10日(木)〜8月4日(月) |
時間 |
10:00AM〜6:00PM(入館は5:30PMまで) |
第1会場 |
世界のタイル博物館 1階 企画展示室 |
第2会場 |
陶楽工房 陶楽ギャラリー |
休館日 |
7月16(水) |
■アーティスト トーク&オープニング パーティー
7月10日(木)※終了しています
5:00〜6:00PM 畑 絢子さんによるアーティスト トーク
6:30PM〜 オープニング パーティー |
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月下で、銀粉をまとったように光る陶の花。時には、白い砂の上に影を落とし、虚実二輪の花となって静かに揺らめくさまは、この世ではない遠いどこかの光景のような、幻想的な景色をつくり出しています。
見たことが無い景色を、自分の手でつくり出したいとの思いで制作しているという畑さん。磁器土の特性である透光性に魅力を感じ、重さを感じさせない浮遊感のある作品を追求していくうちに生まれた作品がツキノハナだといいます。
花の形の凸型の石膏型を、たっぷりアルミナを入れたひと回り大きい器(さや)の中に押しつけ花形を残し、その上に釉薬を吹き付けてガラス質の膜をつくってから磁器土の泥しょうを塗ります。さらにその上に釉薬を吹きつけ、最後にアルミナをかけて焼くという、とても薄い作品です。焼成後、砂糖をまぶしたように溶けずに残ったアルミナのザラっとした質感の白い粒と、青白い釉薬のコントラストがとてもきれいに見えたそうです。最後に、土の花弁の重みに耐えるギリギリの細さ、0.7ミリのピアノ線を花の茎に見立て、磁土の花を支えます。
1976年京都市生まれの畑さんは、金沢美術工芸大学で陶芸を始め、大学院卒業後の2003年に朝日陶芸展で秀作賞を受賞します。広島市に在住の現在は、地元関西方面を中心に個展やグループ展で作品を発表、多くの陶芸家や興味を持って見てくれる観客から、創作の刺激を受けていると言います。
最近では、釉薬を使わずに磁器土とアルミナだけで咲いている花を形づくり、薄い花びらの表面に土や光の結晶が現れたかのようにイッチンで描かれた模様が透けるものや、虫食いの穴のような隙間から大小の光が漏れたりする、真っ白な作品も作り始めています。
今展では、3メートル半ほどの大きな円の中に100本あまりのツキノハナが咲きます。中心から外側に向かって、つぼみから徐々に咲き開き、ゆらゆらと揺らめきながら青白く輝くさまをお楽しみいただくほか、近作の白いハナも登場します。
夏の暑い日差しをくぐりぬけると、白光しかすかに揺れるツキノハナの夢幻のような涼やかな光景をご覧いただけます。どうぞお越しくださいますよう、お待ち申し上げます。
[HATA Junko プロフィール] |
1976年 |
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京都市生まれ |
1999年 |
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金沢美術工芸大学 産業デザイン学科 工芸デザイン専攻 卒業 |
2001年 |
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金沢美術工芸大学大学院 美術工芸研究科 修了 |
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現在、広島市在住 |
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[個展] |
2001年 |
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ギャラリーそわか/京都 |
2004年 |
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リベラルアートJPN/広島 |
2006年 |
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INAX ガレリアセラミカ新宿/東京 |
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イムラアートギャラリー/京都 |
2007年 |
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TONG-IN Gallery/韓国/ソウル |
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[公募展&グループ展] |
1998年 |
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伊丹国際クラフト展 |
1999年 |
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第38回朝日陶芸展 |
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第3回出石磁器トリエンナーレ |
2001年 |
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第19回朝日現代クラフト展 |
2003年 |
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畑絢子+嶋田朋子二人展「behind in this big blue world」 ヱビデンギャラリー/広島 |
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第41回朝日陶芸展 秀作賞 |
2005年 |
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第3回世界陶磁器ビエンナーレ/韓国 |
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ふなばし現代美術交流展‘05 物語が生まれる所/千葉 |
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器・小さなオブジェ・道具展 INAX ガレリアセラミカ新宿/東京 |
2006年 |
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ガレリアセラミカの11人展 INAX 世界のタイル博物館/常滑 |
2007年 |
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器・小さなオブジェ・道具展 INAX ガレリアセラミカ/東京 |
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ガレリアセラミカの10人展 INAX 世界のタイル博物館/常滑 |
2008年 |
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現代の造形-Life&Art-陶で彩る 東広島市立美術館/東広島 |
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第2回ひろしま陶芸展 福屋八丁堀店/広島 |