建築とデザインとその周辺をめぐる巡回企画展



展覧会案内

織物以前  タパとフェルト<br>Early Cloth  Tapa and Felt

織物以前 タパとフェルト
Early Cloth Tapa and Felt

タパとフェルトは、身近にある植物や羊毛を使い人々の手を介して生み出されてきた原初の布です。それらは織物へと技術が進化する以前から伝わると考えられています。
本展では、南太平洋の島々や、東西アジア地域で古くから暮らしの中に使われてきたタパとフェルトに焦点を当て、周辺の実資料を合わせた約60点から、素朴で力強い不織布の魅力を紹介します。

EARLY CLOTH TAPA and FELT

Osaka: 8 September – 21 November 2017
Tokyo: 7 December 2017 – 24 February 2018

Tapa and felt are early cloths made by hand employing commonly available plants or wool. Tapa and felt, it is believed, were used long before the technology for weaving was developed. This exhibition looks at the tapa and felt used in daily life since ancient times in the South Pacific islands and regions of Southeast Asia, and shows the attractiveness of tapa and felt as simple, strong non-woven cloths.
Displayed in the gallery are some 60 precious materials collected by Shigeki Fukumoto, who has commuted to the South Pacific islands for over 30 years to research tapa, and Goro Nagano, who researched pressed felt technologies in Southeast Asia primarily in the 1990s. Visitors will be struck by the toughness of these early cloths and by their designs and textures, which combine boldness and delicacy to attain a beauty symbolic of ethnic culture. Through these non-woven cloths infused with long inherited ethnic traditions and skills, the exhibition offers a chance to have contact with the ancient beginnings of human technology and the arts of dyeing and weaving.
We wish to extend our warmest appreciation to Messrs. Shigeki Fukumoto and Goro Nagano and everyone whose efforts have made this exhibition possible.

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ギャラリー1(東京): 2017年12月7日(木)〜2月24日(土)
□Closed:水曜日、12/29-1/4 /Wednesday、29 Dec-24 Feb
□AM10:00〜PM6:00
□入場無料/Free
ギャラリー大阪: 2017年9月8日(金)〜11月21日(火)
□Closed:水曜日
□AM10:00〜PM5:00
□入場無料/Free


展示品 リスト BOOKLET
講演会「織物以前のはなし 南太平洋から」(大阪)
対談「織物以前のはなし フィールドワークから」(東京)
展示会概要
織物以前 タパとフェルト

墓地に広げられたタパ(フィジー)
写真:© 飯田裕子

織物以前 タパとフェルト

パプアニューギニア ノーザン州マイシン族のある家系に伝えられた儀礼用タパ。腰巻として用いられ大樹の文様が施されている
所蔵:福本繁樹 撮影:益永研司

織物以前 タパとフェルト

トンガでのタパづくりの様子。樹皮をハンマーで打って伸ばし、白生地を作る。
写真撮影・提供:福本繁樹

織物以前 タパとフェルト

カシュガルのフェルト職人の夫婦。市場で求めた原毛色の羊毛を、妻が手で藁屑や小枝などを取り除いた後、夫が鉄製の棒で叩きほぐし、埃や泥を落とす。羊毛からフェルトの敷物を作る最初の工程。
写真撮影・提供:長野五郎

織物以前 タパとフェルト

遊牧民が羊飼い用に用いるマントで、現地ではケペネックと呼ぶ。同じくコンヤのフェルト職人、メハメット・ギレギチェさんが制作した。
写真撮影・提供:長野五郎




*画像をご使用の方はLIXILギャラリーまでお問合せ下さい。


布のはじまりを求めて
古からの豊かな不織布の世界をめぐる


見どころ

南太平洋の島々では、成長の早いクワ科の樹皮を打ち延ばして作る樹皮布=タパが作られてきました。ここは海洋の孤立した地域であることから機織りの伝播がごく一部に限られたため、独自の布文化が現存したと考えられています。一方、ユーラシアでは身近な羊の毛を縮絨(しゅくじゅう)させシート状にする圧縮フェルト作りが続けられています。時に過酷な環境に身を置く遊牧民を寒さや乾燥から守る役割を担ってきました。タパやフェルトは衣服だけでなく儀式や結界、住居の装飾等の用途で暮らしと密接にかかわり長く利用されています。民族の文化を象徴するほどに、どちらも大胆さと繊細さが絡み合う意匠や風合いと原初の布ならではの力強さがあります。 本展では、南太平洋の島々に三十数年来通いタパ研究を続ける福本繁樹氏と、主に1990年代に東西アジアで圧縮フェルトの技術調査を行った長野五郎氏らによって収集された貴重な資料約60点をとおして、織物以前から伝わる不織布の世界を紹介します。パプアニューギニア、フィジー、トンガなど地域ごとに展示するタパのコーナーでは、個々に異なる文様や色合いなどをじっくりとご覧いただきます。フェルトのコーナーでは伝統的な技法による敷物から希少な遊牧民のマントなどを展示します。これらの他、制作に使われる材料や道具類、また、制作工程を追ったスライドショーなども披露します。民族の伝統と技術の継承が、これら原初の布には込められています。本展が、布をめぐる人間の営みや染織文化の原点に触れる機会となれば幸いです。
 
展示構成
<南太平洋のタパ>
主にパプアニューギニア、フィジー、トンガの3地域のタパをご覧いただきます。 パプアニューギニアは、豊かな原生林の恵みを材料に部族に伝わるタパが伝統的に作られてきた地域です。染料は黒と赤褐色の2種で、文様は家系で定められたものや女系に代々伝えられるものなど数多くあります。またそれらは氏族内に語り継がれてきた伝説や神話由来のものも多く、外部へは他言しない掟があります。大樹の文様が施された腰巻はノーザン州マイシン族のもので、大胆な文様からは豊かな表現力を感じることができます。
一方、フィジーはタパの製法が最も発達した地域と言われています。薄く滑らかなものや継ぎ合わせて巨大なタパも作られます。和紙のような風合いを持つラウ群島モゼ島の肩掛けや、1枚の布を作るのに数十工程もかけ誕生するタベウニ島の美しいタパ「花嫁のれん」もご覧いただきます。 現代で最もタパが盛んに作られているのがトンガです。巨大なタパ作りは作業小屋に集まった女性たちの共同作業で仕上げられていきます。型板等を用いて文様を摺りだすのが特長です。

<タパ作りの道具と原料>
タパの原料となるカジの木の外皮を剥がす貝や靭皮繊維を叩いて伸ばす道具の他、顔料類、色見本、フィジーで用いられる型紙、またトンガで使用されている施文用筆や型板とコカの染料で彩色された摺り見本など各地域独特の布作りにまつわる道具類をご覧いただきます。
 
<東西アジアのフェルト>
新疆ウイグル自治区カシュガルとトルコのコンヤで制作された圧縮フェルトを紹介します。フェルトは、羊毛を層に重ね、水分、熱、振動、圧を加え、さらに石鹸などのアルカリ性物質を加えてシート状にして完成します。 カシュガルからは、羊の白と黒の原毛を使って伝統的な模様が描かれた、重厚で素朴な味わいのある敷物を展示します。コンヤからは、世界のフェルト作家が伝統技法を学びにくるという職人の元で制作された美しい敷物を披露します。知識に裏打ちされた精緻な技と植物染料を使った優しい風合いには独特の趣があります。併せて今では珍しい遊牧民のマントなどもご覧いただきます
 
<フェルト作りの道具>
ここでは、フェルト作りに欠かせない綿打ち弓「ヤイ」を紹介します。木枠に張った羊腸の弦「ケリシ」を木槌「トクマック」で弾きながら、その振動で絡んだ羊毛を細かくほぐす伝統的な道具です。頑丈で持ち運ぶこともできるため、ユーラシア大陸で広く使われてきました。かつて日本でも開綿作業の際に同じ道具を使っていた歴史があります。

展示にあたり、関係の皆様には多大なるご協力を賜りました。 の場をかりて厚くお礼申し上げます。



[企  画]
LIXILギャラリー
[制 作]
株式会社LIXIL
[協 力]
福本繁樹、長野五郎
[展示デザイン]
ジョイントセンター株式会社

BOOKLET
織物以前 タパとフェルト
『織物以前 タパとフェルト』

2017年9月発売
定価:1800円(税別)  LIXIL出版
会場風景
織物以前 タパとフェルト
織物以前 タパとフェルト

織物以前 タパとフェルト
織物以前 タパとフェルト

2017年 大阪会場写真





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