建築とデザインとその周辺をめぐる巡回企画展



展覧会案内

WASHI 紙のみぞ知る用と美 展<br>The Wondrous Beauty and Utility of Japanese Handmade Paper

WASHI 紙のみぞ知る用と美 展
The Wondrous Beauty and Utility of Japanese Handmade Paper

和紙でつくられたお椀、傘、着物…。その優れた特性と加工技術により、江戸時代以降、和紙の用途は一気に広がり様々な生活道具が生み出されました。 本展は、「加工」の視点から捉えた和紙の造形文化と変幻自在な素材の魅力を、江戸から昭和初期の最盛期につくられた実資料約80点より紹介します。

The Wondrous Beauty and Utility of Japanese Handmade Paper

Osaka: 9 September-22 November 2016
Tokyo: 8 December 2016-25 February 2017

Washi (“Japanese paper”) has been produced in Japan for over a thousand years. It is made using fibers from the bark of the paper mulberry (kozo), mitsumata plant, or gampi plant. The tough, elastic bark fibers of these shrubs enable the manufacture of paper that is beautiful, durable, and long-lasting even when thin. Because of these qualities, washi was broadly accepted as a versatile material for everyday uses in the early Edo Period (1603-1868). Washi can be folded to make umbrellas and paper lanterns. It can be woven in the form of paper strings and brushed with persimmon tannin to make durable boxes and woven hats. Washi sheets can be massaged and softened for use in making paper garments (kamiko). When spun into paper yarn, washi can be woven to make paper fabric (shifu). As people have applied varied fabrication techniques to washi, they have devised tools of every kind for daily living. The distinctive qualities of washi produced differently in different regions has further enhanced the beauty of those tools. When seeing the many variations in the way washi has been used, we sense the innate power washi possesses as a material and the indefatigable spirit of people’s hand labor. This exhibition features a phantasmagoric array of washi products typically made from wood, cloth or leather, some 80 items in all. They are displayed in sections reflecting the facets of living: “clothing,” “food,” “shelter,” and “amusement.” We invite you to enjoy superb, lovingly made articles of washi dating from the 17th to early 20th century (the Edo period to early Showa): the age when the craft of washi flourished. Featured are not only Japanese articles but articles from Korea where paper crafts of exquisite design still survive in great number. Through this exhibition, visitors can explore the culture of washi and enjoy occasion to ponder its future potential. We wish to thank everyone who has contributed to the realization of this exhibition.

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ギャラリー1(東京): 2016年12 月 8日(木)〜2017年 2月 25日(土)
□Closed:水曜日/Wednesday、年末年始
□AM10:00〜PM6:00
□入場無料/Free
ギャラリー大阪: 2016年9月9日(金)〜11月22日(火)
□Closed:水曜日/Wednesday
□AM10:00〜PM5:00
□入場無料/Free


展示品 リスト BOOKLET
講演会「和紙のふしぎ−素材が語る可能性」(大阪)
講演会「和紙のふしぎ−素材が語る可能性」(東京)
展示会概要
WASHI  紙のみぞ知る用と美

百重張白叩き塗り陣笠
紙を幾重にも重ねて張り、黒漆と胡粉を塗り叩いて独特の風合いを出している。火災が生じたら早馬で将軍に知らせに行く伝令役の使番(つかいばん)が着ける陣笠で、裏は金箔が張ってあり遠くからでも目を引く。
所蔵:其角堂コレクション

WASHI  紙のみぞ知る用と美

紙布手提げ袋
経糸に綿糸、緯糸(写真の縦方向)に紙を用いて織った紙布を色鮮やかに彩色し、縫製した手提げ袋である。女性用。手提げ袋は明治に入ってから使われ るようになった。
所蔵:其角堂コレクション

WASHI  紙のみぞ知る用と美

黒漆塗り椀
径12p×高さ7・5pで重さはわずか22g。ほぼ同サイズの木製の漆椀は約100g、プラスチック容器は約50gで、紙の軽さが際立つ。漆はごく薄くかけてあり、細幅に切った和紙を放射状に張ってある様子がうかがえる。
所蔵:桂樹舎和紙文庫

WASHI  紙のみぞ知る用と美

紅糸縅(くれないいとおどし)節句雛鎧
江戸後期。節句飾りの雛鎧(ミニチュアの鎧兜)は、本物同様の材を用いたものや木製もあったが、江戸後期からは紙製が広まった。蒔絵を施し、兜の鉢や面頬(頬を覆う部分)は鉄を模して錆漆をかける。紐も芯は紙で、布地が擦れた部分から反故紙がのぞく
所蔵:其角堂コレクション




撮影:すべて佐治康生
*画像をご使用の方はLIXILギャラリーまでお問合せ下さい。


暮らしの中にいきる
変幻自在の素材力


見どころ

日本で和紙が広く作られるようになったのは、江戸時代になってからのことです。原料として主に使われていた楮(こうぞ)・三椏(みつまた)・雁皮(がんぴ)などの植物の靱皮(じんぴ)繊維はしなやかでねばり強く、薄くても丈夫で美しいため、さまざまな成形に向く身近な素材として認知されていきました。 和紙は、折り畳んで和傘や提灯にしたり、紙縒(こより)を編んで柿渋を塗り箱ものや笠にしたり、揉み和らげて紙衣(かみこ)を作ったり、紙糸を織ることで衣類に仕立てるなど、書写利用はもとより、建具や食器、衣服、玩具にいたる多様な日用品の材料として普及したのです。漉き方や産地によって特長のある和紙に、さまざまな加工技術が加わることで、暮らしを彩る道具たちが誕生していきました。改めて用途のバリエーションを見つめると、和紙の秘めたる力と人々の手業の粋を感じることができます。
本展では、木、布、皮などに代用された変幻自在な紙製品約80点を、「衣」「食」「住」「遊」の生活場面のコーナーに分けて紹介します。和紙文化が栄えた江戸から昭和初期にかけ丹精を込めて生み出された逸品をご覧ください。日本のみならず意匠を凝らした紙工芸品が数多く残る韓国の資料も交えて展示します。繊維の特長は解説を用意し主な役割を伝えます。本展を通して、さまざまな特性が活きた和紙の造形文化を楽しんでいただくとともに、未来につながる和紙の可能性を再考していただく機会になることでしょう。
 
「住」:八面六臂の働きもの
このコーナーでは、住まいの中で使用された紙製品を紹介します。まず、襖障子に用いられる「江戸唐紙」や「利久紙」、雲母や胡粉の描画による「襖紙見本帳」などをご覧いただけます。大胆な図案や色柄からは、襖紙が空間を仕切るだけでなく室内を装飾してきた役割が伺えます。また、和紙による光の拡散効果を利用した「行灯(あんどん)」や携帯用「提灯(ちょうちん)」などの照明具、屋内用の敷物や掛け布団用の和紙も展示します。さらに、皮革を模造した「擬革紙(ぎかくし)」の中でも、凸凹文様が美しいヨーロッパの「金唐革(きんからかわ)」をなぞらえ、紙加工の粋と言われる「金唐革紙」で作られた小箱や筆入れを展示します。独特の趣がある和紙の表情をご覧いただけます。

「衣」:まとい携帯する
身に着ける紙製品として色々な種類が登場します。和紙を揉んで柔らかくし、表面に柿渋や寒天、こんにゃくを塗り仕上げた「紙衣」や、縦糸に和紙を用いて織り上げた「紙布(しふ)」、紙縒を網目状に編んだ肌着などを展示します。また女性の嗜みとして髪を結いまとめる「元結(もとゆい)」や装飾用の「丈長(たけなが)」、男性用の「煙草入れ」や「煙管筒(きせるつつ)」「陣笠」など、風合いや細工の妙をご覧ください。
 
「食」:量産できる身近な素材
和紙を張り重ね、漆で仕上げた「お椀」や、紙縒を編んで成形し、漆や柿渋で塗り固める長門細工の「瓢箪型酒器」などをご覧いただきます。自由な成形に加えて、編み方と加飾にも意匠を凝らし、軽量で携行に便利な食の道具が作られました。手のひらサイズのぐい飲みや旅行用のおむすび入れ、特大の雑穀入れや茶壺なども紹介します。
 
「遊」:豊な表情を愛でる
ここでは貴重な歌川国貞のちりめん錦絵「源氏姿花の宴」を展示します(前期のみ)。ちりめん紙とは、通常の版木で摺られた錦絵を6〜8割ほどのサイズに揉み縮めたものですが、複雑な技術が必要なため今ではその技の伝承が危ぶまれています。細やかな風合いと凝縮された色合いは必見です。また、紙製の節句飾りの雛鎧も展示します。蒔絵を施し、兜の鉢や面頬には鉄を模して銹(さび)漆をかけるなど、見応えのある重厚なつくりとなっています。その他、張子の三春人形など、細工がしやすい紙ならでは特性を活かした躍動感ある作品をご紹介します。

展示にあたり、関係の皆様には多大なるご協力を賜りました。この場をかりて厚くお礼申し上げます。



[企  画]
LIXILギャラリー
[制 作]
株式会社LIXIL
[協 力]
其角堂コレクション、桂樹舎和紙文庫公益財団法人 紙の博物館

BOOKLET
WASHI  紙のみぞ知る用と美
『WASHI 紙のみぞ知る用と美-』

2016年9月15日発売
定価:1800円(税別)  LIXIL出版
会場風景
WASHI  紙のみぞ知る用と美
WASHI  紙のみぞ知る用と美

WASHI  紙のみぞ知る用と美

2016年 大阪会場写真





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