建築とデザインとその周辺をめぐる巡回企画展



展覧会案内

七宝−色と細密の世界− 展<br>SHIPPO

七宝−色と細密の世界− 展
SHIPPO

SHIPPO--Japanese Cloisonne
–A World of Color and Exquisite Detail-


光を受けて輝く様が宝石にも例えられる七宝。この技術は古代より世界各地で使われ、日本でも古くから建築や家具、道具類と、様々なものを彩ってきました。
明治期、その卓越した技術と感性は海外で絶賛され、一躍日本趣味流行の立役者となります。
本展では、七宝の優美な意匠を、並河靖之をはじめとした名工の作品でご覧いただくほか、技法・製作工程を通じ、七宝が綿密な技術の集大成であることを、改めてご紹介します。

プレスリリースpdf_icon_s.gif PDF 460KB ※ご覧いただくにはAdobe Reader が必要です。

ギャラリー1(東京): 2009年9月3日(木)〜11月21日(土) 休館日:日祝日 □10:00〜18:00 □入場無料
ギャラリー大阪: 2009年12月5日(土)〜2010年2月18日(木) 休館日:水曜日、年末年始 □10:00〜17:00 □入場無料


展示内容 展示品リスト BOOKLET
講演会「七宝のはなし 世界を魅了した近代日本の技と美」(ギャラリー名古屋)
講演会「七宝のはなし 世界を魅了した近代日本の技と美」(ギャラリー1(東京))
講演会「七宝のはなし 世界を魅了した近代日本の技と美」(ギャラリー大阪)
展示会概要
七宝 -色と細密の世界-

写真:「花鳥文花瓶」作:並河靖之 所蔵:宝満堂 撮影:益永研司(ナカサ アンド パートナーズ)

七宝 -色と細密の世界-

『雉秋草文花瓶』 作者不明 個人蔵 撮影:益永研司(ナカサ アンド パートナーズ)


華麗な艶めき
密なる手わざ
日本の美


ガラス釉が繊細な文様を描き、光を受けて輝く七宝。七つの宝石のように美しいと名づけられたその煌きは、紀元前より世界各地で愛され、日本でも高貴な身分の人たちの建築、武具、道具類を彩ってきました。

なかでも日本では近代、有線七宝と呼ばれる技法によって作られた作品が隆盛を極めます。明治期、武士の時代が終わり、彼らのために身の回りの道具類を作ってきた職人たちもまた、その役目を終えました。世界は万博華やかなりし時代。政府は諸外国に日本の技術力の高さをアピールすべく、彼らに輸出用の工芸品制作へ道を転じることを奨励します。海外に新たな活路を見出した職人たちは、卓越した技術と感性を作品に注ぎ込みました。七宝もこうして海外向けの制作が奨励された工芸の一分野です。美術と工芸が厳然と区別されていた欧米において、日本工芸の細密の美は驚異的なものであり、万博をきっかけに日本の高度な七宝作品に出会った人々は、その繊細な技術、意匠の美しさにたちどころに魅了されました。西洋にはジャポニズムの大流行が巻き起こり、日本では洗練を極めた七宝作品が数多く生み出されていったのです。

近代七宝を劇的に発展させ、多くの人々を惹きつけた有線七宝とは、下地にごく細い金属線を文様の形に植え付け、そこへ釉薬を流し込むことで図柄を描き出す手法です。日本では江戸末期、尾張藩の梶常吉がオランダ船の運んできた七宝を研究し、この技術を解明しました。江戸時代まで主な手法であった、下地を掘り込んで釉薬を流し込む象嵌七宝に対し、有線七宝の技法では、より大きな作品や細密な意匠を釉薬で表現することが可能になりました。梶に教えを請った工人たちが中心的な担い手となって、尾張の西部、遠島町(現愛知県海部郡七宝町)を中心に七宝は一大産業となります。透明度の高い美しい釉薬が誕生したのも明治期のことで、数多くの名工たちが登場し、至高の作品が次々生み出されることとなりました。

下絵を描き、胎に写し、植線を施し、釉薬を流しては焼き、研磨し、美しく仕上がったもののみを作品とする・・七宝作品は各工房の優れた職人たちが、数ヶ月、ときには年単位の時間を投じてはじめて完成します。

会場では、こうした技術の結晶である七宝作品を、近代のものを中心に約50点ご覧頂きます。様々な技法を駆使して作られた作品の数々、製作工程や道具類をご紹介し、七宝の様々な表現とその完成までの道のりをご紹介します。さらに、林小伝治、濤川惣介、粂野締太郎といった明治の名工たちの技の結晶、それぞれ特徴的で表現豊かな作品の数々をご覧頂きます。なかでも10余点が出展される京都の名工・並河靖之の作品はその艶やかな色彩と細密な文様が他の追随を許さないものとして、現在でも高い人気を誇ります。
また扉の引き手や釘隠しなど、建物や道具類の一部として使われる七宝作品もご紹介。日本文化の中で七宝がどのように人々の生活を彩ってきたかがご覧いただけます。
今展が、日本工芸が新たな展開を求め花開いた時代の情熱や、その礎として日本に受け継がれてきた卓越したデザイン・色彩感覚を改めて味わっていただく契機となれば幸いです。

今回の展示・取材にあたり、関係の方々に多大なるご協力を賜りました。この場をかりて厚く御礼申し上げます。


[企 画] INAXギャラリー企画委員会 [制 作] 株式会社INAX [協 力] 甘利明、安藤七宝店、清水三年坂美術館、七宝町七宝焼 アートヴィレッジ、園田早苗、名古屋市博物館、宝満堂
BOOKLET
七宝SHIPPO -色と細密の世界-
『七宝 -色と細密の世界-』

2009年6月刊行 本文75ページ(カラー60ページ) 定価:1575円(税込)  INAX出版



<宝満堂 銀座店 「明治の七宝展」ご案内>
今展に、並河靖之、林小伝治などの名工作品を出品くださった古美術 宝満堂 銀座店において、東京展と同時期に『明治の七宝展』が開催されます。多彩な七宝作品をぜひご覧ください。

『明治の七宝』展
宝満堂 銀座店
GINZA HOUMANDO
〒104-0061 東京都中央区銀座1-9-1
http://www.houmando.com

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