A パステルカラーの風景画
源馬菜穂の作品は、筆の大きなストロークが心地よい、パステルカラーの油彩画です。広々とした草原の中を、たったひとりだけ人物が歩いています。草の波、風の吹くさま、空の移り変わる色が、流れるように薫るように描かれた清々しい作品です。
B 「絵の向こう側」をテーマに
源馬菜穂は、当初よりその感性が高い評価を得てきましたが、2010年から、人物と風景のモチーフはそのままに作風が変わり、もっと自由に、思うままに筆を走らせ、モチーフを限定し、短時間で作品を仕上げるようになりました。「絵の向こう側」をテーマに、目には見えないものや大切にしているもの、心象や感情だけを画面にこめるようになります。心象だけを抽出した作品は、色彩はうるんだような透明感に充ち、春風が吹き渡るような芳しさで、2012年「はるひ絵画トリエンナーレ」では「contact」が大賞を受賞しました。