建築・美術展 GALLERY 2




展覧会案内

牛島光太郎 -意図的な偶然- 展<br>Ushijima Koutarou Exhibition

牛島光太郎 -意図的な偶然- 展
Ushijima Koutarou Exhibition

2012年10月3日(水)〜10月27日(土)

■ 休館日
日祝日
■ 開館時間
10:00〜18:00
■ 観覧料
無料

アーティスト・トーク 10月3日(水) 18:00〜19:00

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「意図的な偶然」 インスタレーション 2011



展示会概要
牛島光太郎の作品は思い入れのあるモノや路上で収集したモノ500点と、布に文字で物語を刺繍した作品を展示するインスタレーションです。物語は実話で、モノが想起させる普遍的なわたしたちの記憶を刺激し、社会と個人の関わりを考察します。今回出品される作品は「意図的な偶然」シリーズの新作で、海外や関西を中心に発表を重ねてきた作家による東京初個展となります。


見どころ

@ 誰にでも起こる話がモチーフ
牛島光太郎の作品は、日常生活の中で誰にでも起こる物語をモチーフに、文字を刺繍した布と、作家が大切にしてきたモノや路上で収集したモノ500点を組み合わせたインスタレーションです。
さまざまな素材の布に刺繍された物語は作家が体験した出来事を元に作られています。展示では、大雨の中受話器越しに蝉時雨が聞こえてきて、車に戻ると蝉の抜け殻を見つける話や、引越しして行った友達の家に別の小学生が引越ししてきて、またその家に遊びに行く話などのささやかでなにげない話と合わせて、作家が収集したモノが展示されています。牛島光太郎の作品は、誰もが体験したことのあるような懐かしさを観る者に感じさせ、布に刺繍された文字の一針ごとの縫い目が吐息のような生命力を持って語りかけてきます。

A テーマは個人と社会のかかわり
作家が収集したモノは、布に刺繍された物語と合わせて展示されることで強い存在感を放ち、それまで価値のなかったモノが価値のあるモノに見えてきます。なぜ価値が変わるのか、価値とは何なのか考える瞬間です。また、路上に落ちていた500個の小さなボタンやキーホルダーは美しく、500人の個人的な出来事を一度に見るようにドラマティックです。人間関係のアイロニー、個人から他者、社会へのかかわりへと考察が広がります。

B 「意図的な偶然」シリーズ 新作公開
牛島光太郎は1978年生まれ、成安造形大学彫刻クラス卒業後、2008年より現在の作品の制作を始めます。海外での滞在制作や世界各地での個展、日本では関西を中心に発表や受賞をしてきました。今回が東京初個展となります。
今回出品される作品は、布に刺繍された物語と収集物による「意図的な偶然」シリーズの新作と、拾ったボタンやキーホルダーを組み合わせた「みちのもの」を発表します。



牛島光太郎(Ushijima Koutatou)展

2012年 会場風景

牛島光太郎(Ushijima Koutatou)展

牛島光太郎(Ushijima Koutatou)展

牛島光太郎(Ushijima Koutatou)展

牛島光太郎(Ushijima Koutatou)展 牛島光太郎(Ushijima Koutatou)展

インタビュー
2012年7月18日 インタビュー:大橋恵美(LIXILギャラリー)
大橋 「意図的な偶然」シリーズはどのようにして生まれたのですか。
牛島 「意図的な偶然」は2008年頃から始めた連作で、日常生活で私が実際に拾ったモノや私にとって思い入れのあるモノと、文字を刺繍した布で構成する作品です。
それまで価値のなかったモノが何かをきっかけに価値のあるモノにみえる時があります。大抵の場合それは錯覚だと思うのですが、そのことをもう少し知りたいと思って始めました。
私は大学では彫刻を専攻していて、研究生を含めた4年間、石彫に取り組みました。ある時から、ゼロからモノをつくるという作業では、思っているものがつくれないかもしれないと考え、石を彫るのを止めることにしました。それから、自分がつくった彫刻に文字を貼ってみたり、既製品にシルクスクリーンで文字を刷ってみたりしているうちに、モノと言葉の関係を考えるようになりました。
その後、モノと言葉を組み合わせて、ある一場面をつくる「scene」という連作を始めました。ここでは、モノをゼロからつくらず、型を取ったり、割れた陶器の人形やコップなどを、ひたすら繋ぎ合わせたりしていました。
ゼロからモノをつくらないという作業が、「意図的な偶然」につながったのではないかと思います。
大橋 モノと物語の関係性はどのようなものですか。
牛島 「意図的な偶然」はすべて実話をもとにしています。この作品では、モノは挿絵のようなものだと言えます。これについては、それではあまりにも単純でつまらないという見方もあるかと思います。私自身は、あるモノの横に、テキストを刺繍した布を添えることによって、モノ自体は何も変わっていないのに、そのモノの見え方や強度が変化するということに興味があります。
今はそれから少し進み、身のまわりに存在するモノや事実を再構成する、編集するというような作業に可能性を感じています。
2010年以降の展覧会では、拾った小さなモノ500個も加えて展示するようになりました。
町を歩くと小さいモノがよく落ちているんです。中でも持ち主を想像できるモノ、ポケットに入れて持ち歩ける大きさのモノが好きで拾っています。
全く知らない人が所有していたモノを、自分が所有するという独特な感じがなんだかどきどきします。出会うはずがないモノが、出会う場所でない所で出会う、500人の個人的な出来事を一度に見たような気になり、美しいと思いました。
これまでの制作テーマは個人的なものばかりでしたが、拾ったモノを通して、社会や他の人のことを考察できるような広がりを感じています。
大橋 刺繍での表現が印象的です。
牛島 2006年までは、刺繍以外にも水や落ち葉やベッドの皺などで文字をつくったりしていましたが、言葉の在り方として、今のところ、刺繍が一番うまくいっているような気がしています。声優を目指している女の子にいろんなパターンでテキストを読んでもらったり、色々と試したりもしたのですが、あまりうまくいきませんでした。言葉は、映画の様に音や光とも相性が良いとは思うのですが、まずは物質としてきちんと表現することができればと思っています。
物語を展開する方法には、映像、小説、演劇などがあると思うのですが、私が語りたいと思っている種類の物語をつくるためにフィットする方法をうまく見つけることができないでいる状態です。
今展でも発表する新作も、その方法を模索する試行錯誤のうちの一つです。
大橋 どのような物語をつくりたいのでしょうか。
牛島 これまで、「scene」と「意図的な偶然」という二つの連作に取り組んできました。
「scene」は物語をつくる上で必要な設定や構成は一切せず、みた夢や脈絡なく頭の中で起こったことなどを題材にして、出来た順に制作・発表していくというもので、内省的な作業と物語のつくり方の一つの提案でした。
一方、「意図的な偶然」は、事実をもとにしてつくられた私の個人的な日記のようなものだと言えます。 この二つの連作は、今後も続けていくつもりです。
今展では新作を制作していますが、全て実話をもとにしているのですが、数種類の話を混ぜ合わせたりして、今までとは違う物語のつくり方を試しています。
言葉で説明するのは難しいのですが、何も起きないような物語をつくれればと思っています。
最近では、DVDの映画を1日に決めた分だけ通常とは少し変わった観方で観るようにしています。その他は、ラジオの音声を書き留めたり、新聞をスクラップしたりするようになりました。
これらが何になるのか分かりませんが、次作につながればと思っています。
作家略歴
1978年 福岡県生まれ
2003年 成安造形大学 彫刻クラス研究生修了
主な個展
    
2005年 「scene-15」 GALLERY wks.(大阪)
2008年 「scene」 關渡美術館 Kuandu Museum of Fine Arts (台湾・台北市)
2010年 「意図的な偶然 / intentional accident」 三菱地所アルティアム (福岡)
2011年 「意図的な偶然 / intentional accident」 成安造形大学・スペースギャラリー(滋賀)
主なグループ展
    
2005年 「Art Court Frontier 2005 #3」 ARTCOURT Gallery(大阪)
2007年 「Ich sehe was, was du nicht siehst」 Kuenstlerhaus Dortmund(ドイツ・ドルトムント市)
「Wording image [spell] 」 art project room ARTZONE(京都)
2009年 「神戸ビエンナーレ 2009」 神戸メリケンパーク(兵庫)
2012年 「The A as A Project 2012—China-Japan Contemporary Art Exhibition」53美術館(中国・広州)
「アーツ・チャレンジ2012」愛知芸術文化センター(愛知)
プロジェクト
    
2011年 「博多アートステージ」 JR博多駅内アミュプラザ(3F-5Fの吹き抜け空間)に作品設置
「おおさかカンヴァスプロジェクト」関西国際空港(旅客ターミナルビル4F)に作品設置
レジデンス
    
2007年 Kuenstlerhaus Dortmund(ドイツ・ドルトムント市)
2008年 關渡美術館 Kuandu Museum of Fine Arts (台湾・台北市)
2010年 The association La Nature de l’Art(ニューカレドニア・ヌメア市)
2012年 Guangzhou 53 ART MUSEUM(中国・広州)
パブリックコレクション
    
『scene-35』,『scene-36』 關渡美術館 Kuandu Museum of Fine Arts (台湾・台北市)

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