大学・大学院で絵画科だった赤坂は、2004年に初めて映像作品「重なりつもっていく」を制作。単純な原理の映写機を自らつくり、飛行機が過ぎていくだけの影を小さなホワイトキューブに映しました。成田空港から飛び立つ飛行機に、9.11をTVで見た記憶が甦り、複数の人々と自らの記憶が複雑に絡み合う作品をつくります。赤坂の制作方法は独特で、写真や絵から1枚1枚の静止画をつくり、数千枚重ねた層を時系列で映像にしていきます。圧縮されたイメージが積層して時間となり、そこにパソコンのモニターを通して触れていく作業が、積み重なる記憶のかたちと、呼び覚ます現在との身体的な関係に似ていると言います。
これまでに群馬青年ビエンナーレ(2008)、東京アートアワード(2009)、在日フランス大使館旧庁舎解体前プロジェクトNo man's land(2009)などに選出され、夢と現実の境目、記憶とものの関係へと常に回帰していく、重厚でありながら軽やかな作品は評価を得てきました。
今展では会場内に「蚊帳」を吊るし、青い蚊帳のうちと外、虫、川遊び、子供の頃の夏休みの思い出、古い家での暮らしなどを絡めた、真夏の白昼夢のような新作を発表します。ぜひ会場でご覧ください。