やきもの展 GALLERY3




展覧会案内

藤ノ木土平展「黙&吟」<br>FUJINOKI Dohei  

藤ノ木土平展「黙&吟」
FUJINOKI Dohei  "Musings & Murmurs"

2018年2月27日(火)〜4月24日(火)

■ 場所
LIXILギャラリー
■ 休館日
水曜日
■ 開館時間
10:00〜18:00
■ 観覧料
無料
アーティスト・トーク
2018年2月27日(火)  18:00〜18:30  申込不要  ※終了しています

プレスリリースpdf_icon_s.gif※ご覧いただくにはAdobe Reader が必要です。

FUJINOKI Dohei  Musings & Murmurs
27 February - 24 April, 2018
■ Closed
Wednesdays
■ Open
10:00-18:00
■ Admission
Free

◆ Here is more details about FUJINOKI Dohei "Musings & Murmurs". (PDF 938KB) pdf_icon_s.gif
※ご覧いただくにはAdobe Reader が必要です。/-->

《山芍薬残像》/ "Impression of a Paeonia Japonica"  2016  65x60xH20cm



展示会概要
LIXILギャラリーでは2018年2月27日(火)〜4月24日(火)の期間、藤ノ木土平展「黙&吟」を開催します。
藤ノ木土平氏は現代唐津焼を追求する一人として、40年にわたり毎年数多くの発表を国内外で行っています。作品は茶道具から日常のうつわ、オブジェまでと幅広く、いずれも唐津焼の特徴である自然と土の魅力を伝えます。
今展では「黙&吟」と題して、「おもちゃ匣」や「山芍薬残像」のような植物をモチーフとした造形的な作品10点を展示します。タイトルの「黙&吟」は四文字熟語の「黙思口吟」(もくしこうぎん):「黙って考え込んで小声で口ずさむ」から来ています。「黙」は「おもちゃ匣」 に見られるような樹木の年輪に、「吟」は「山芍薬」の実のはじける様子から表されています。藤ノ木氏の泰然とした中にもユーモアの光る作品の数々をお楽しみください。

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2018年2月 ギャラリー3 会場風景



「藤ノ木土平展 黙&吟」に寄せて
   藤ノ木土平さんは新潟県十日町市の出身。十日町といえば日本有数の豪雪地帯である。生家のすぐ近くからは、国宝の火焔型土器が出土している。少年の頃、その縄文土器に土平さんは魅せられたという。

   高校卒業後、洋画家を目指して上京、専門学校や民間の絵画研究所に通い油絵を学ぶ。美術館めぐりをしているうちに、絵よりも工芸に魅かれている自分に気づき、全国の窯場をスケッチして廻る。そんな時、偶然立ち寄った唐津の気候風土が気に入り、地元の陶芸家・大橋裕氏のもとで唐津焼を学ぶ。さらに、美濃の加藤芳右衞門氏のもとで織部焼を学んだ。しかし、洗練された織部より、唐津の持つ土臭さ、人間臭さの方が自分の肌には合っていることに気づき、1980年、唐津市鎮西町に登り窯を築窯し独立した。

   土平さんは20代半ばからお茶を習いはじめ、すでに40数年が経つ。以来、自ら焼いた茶碗を使って、毎日茶を点てて飲む。手に持った感じ、口触り、表面に入るきめ細かなひび模様、貫入(かんにゅう)の具合を点検するためである。

   土平さんが目指しているやきものは、使い手に癒(いや)しを与え、明日への希望を抱かせる器である。人を元気にするのが芸術の本質であるならば、やきものも決して例外ではない。土平さんは、「大切なのは、土の顔を引き出すこと。土の特徴をいかに見極めるかが、われわれの仕事でもある」という。それは、表面的な美ではなく、内から伝わってくる土の生命力のことで、400年にわたって人々を魅了し続けてきた唐津焼の秘密がそこにある。

   唐津焼は土が命、すなわち唐津の自然から生まれたのである。唐津の人々の大らかさも、唐津焼の自由さも、すべては自然の産物なのである。その自然から、土平さんは創作のエネルギーを貰っているという。土平さんの作品は、てらいや気負いがなく、どれも愛に溢れてやさしい。唐津焼にオブジェは似合わないといわれるが、土平さんは3年周期でテーマを設けオブジェ風の作品を創作する。それは一つのスタイルに固執せず、常に新しい唐津焼に挑戦するためである。「〇△□シリーズ」や「飛翔(ひしょう)シリーズ」がそれである。

   今回、展示される凹凸の組み合わさった五角や四方の「おもちゃ匣(ばこ)」も、その延長線の作品で、所々に見える模様は年輪を表わしている。一方《山芍薬(やましゃくやく)残像》は、秋に山芍薬の実が熟すと果皮が自然に裂けて、中から黒い種子と結実しない真っ赤な種子が現われる。その弾けた様子を残像として捉え、表現したものである。樹木の年輪を表わした前者が「黙(もく)」、山芍薬の実の弾けた様子を表わした後者が「吟(ぎん)」と名付けられた。どちらも唐津の自然と土平さんの内なる自然が共鳴して生まれたものである。

森 孝一(美術評論家・日本陶磁協会常任理事)


作家略歴
1949 新潟県十日町市に生まれる
1968 東京に上京、専門学校や民間の絵画研究所で油絵を学ぶ
1970 全国各地の窯業地をスケッチしてまわる
1976 唐津の大橋裕氏のもとで唐津焼を3年間学ぶ
1978 美濃の加藤芳右衞門氏のもとで織部焼を2年間学ぶ
1980 唐津市鎮西町に土平窯を開き独立する
1983 個展(西武百貨店/渋谷)以降2年おきに3回開催
1988 個展(黒田陶苑/銀座)以降2年おきに14回開催
1990 個展(ギャラリー81/姫路)以降2年おきに13回開催
1996 佐賀県陶芸協会会員となる
1998 個展(亀の井別荘「雪安居」/湯布院・大分)以降2年おきに10回開催
2006 個展(米近/名古屋)以降3回開催
2009 「古唐津に魅せられたもの達−九人の挑戦」展(佐賀県立九州陶磁文化館)
2010 「唐津焼のいま−12人の陶芸家による技の競演 展」(柿傳ギャラリー/新宿)
2011 「陶のかたち[」(ぎゃらりい栗本/新潟)
「藤ノ木土平展−土平好み 茶籠and呼び継ぎ」(炎群/唐津)
2012 「唐津焼−12人の作家による静の茶碗、動の茶碗」展(柿傳ギャラリー/新宿)
2013 個展(ぎゃらりい栗本/新潟)
個展(器あそび本店/岩国、器あそび十日市店/広島)
2014 「唐津が大好き−14人の作家による花入・茶碗・酒器展」(柿傳ギャラリー/新宿)
個展(お茶の美老園/鹿児島)
2016 「唐津焼十二人展 −茶懐石の器−」(柿傳ギャラリー/新宿)
個展(画廊イタリア軒/新潟)
2017 「陶 藤ノ木土平 × 彩 志水朝 二人展」(柿傳ギャラリー/新宿)
個展(アベノハルカス近鉄本店/大阪)

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