やきもの展 GALLERY3




展覧会案内

星野友幸展 ― 人シリーズ ―  <br>HOSHINO Tomoyuki  <I>The “Human” Series</I>

星野友幸展 ― 人シリーズ ―
HOSHINO Tomoyuki The “Human” Series

2017年11月6日(月)〜12月21日(木)

■ 場所
LIXILギャラリー
■ 休館日
水曜日、11月26日(日)
■ 開館時間
10:00〜18:00
■ 観覧料
無料
アーティスト・トーク
2017年11月6日(月) 18:30〜19:00
申込不要  ※終了しています

プレスリリースpdf_icon_s.gif※ご覧いただくにはAdobe Reader が必要です。

HOSHINO Tomoyuki  The “Human” Series
6 Novenmer - 21 December, 2017
■ Closed
Wednesdays, 26 November
■ Open
10:00-18:00
■ Admission
Free

◆ Here is more details.
HOSHINO Tomoyuki  The "Human" Series pdf_icon_s.gif
※ご覧いただくにはAdobe Reader が必要です。/-->

《 ある女たち 》 / "a certain women"
2017
Left H375×W190×D170mm, center H410×W210×D180mm, Right H345×W190×D135mm



展示会概要
   LIXILギャラリーでは2017年11月6日 (月)〜12月21日(木)の期間、星野友幸展「人シリーズ」を開催します。
   星野友幸氏は一度社会人になり、28歳の時に陶芸家を目指して、京都府立陶工高等技術専門校に入学、修了後は五条坂の陶芸家・猪飼祐一氏に師事しました。そして2013年に独自の技法「練継(ねりつぎ)」による作品にてその年の多くの陶芸賞を受賞し、陶芸家として広く知られることになりました。
   その作品は、白地にピンク色の練り込み模様が幾筋ものラインやマーブル模様を描く、優美で凛としたたたずまいの白磁のうつわです。うつわの純粋造形のほかに、女性の動きや肢体のしなやかさをモチーフとした作品も制作しています。
   今展では、外形のみならず人間の内面をもテーマにした「人シリーズ」を発表します。新作を含む10点を展示します。


見どころ
   星野友幸氏の作品は、白磁にピンクの練り込み模様が繊細で、凛としたたたずまいの鉢や花入れ、壺などのうつわです。
   「練継(ねりつぎ)」という星野氏独自の技法でつくられています。この言葉も星野氏による造語で、伝統的な技法である「練上(ねりあげ)」と「胴継(どうつぎ)」を組み合わせたものです。「練継(ねりつぎ)」は、磁器土にピンクの顔料を練り込んだパーツと、磁器土のままのパーツをロクロで別々に成形したのち、両方を接続することでつくられています。さらに乾燥後、表面や口縁をカンナで削り出して錬り込み模様に変化をつけ、緊張感あふれるかたちが誕生します。
   「足元の練り込み模様から稜線に沿って口縁へ、そして見込(うつわの内側)の練り込み模様へと、見る方の視線の動きを意識して制作」していると星野氏は話します。
   星野氏は2013年の1年間に、菊池ビエンナーレ奨励賞、日本陶芸展「特別展・茨城県陶芸美術館賞」、東日本伝統工芸展「三越伊勢丹賞」、陶美展「優秀賞・インテリアアクア賞」、日本伝統工芸展「日本工芸会奨励賞」と多くの陶芸賞を受賞して一躍その作品と名前が知られるようになりました。今年2017年も、国際陶磁器展美濃「審査員特別賞」受賞、日本伝統工芸展入選など大きな活躍が続いています。
   今春開催された個展「桜の下のロンド」では、ダンスや女性の動きをテーマにした物語性のある展示を行いました。今展ではさらに人間をテーマにした「人シリーズ」を発表します。外形のみならず、人間の内面をも形に表すことを目指した新作を含む10点を展示します。
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2017年11月  ギャラリー3 会場風景  荻沼秀和撮影

「星野友幸展 −人シリーズ− 」に寄せて

   2013年、星野友幸は、陶芸界に彗星のごとく現れて、各賞を総なめにした。菊池ビエンナーレ奨励賞、日本陶芸展「特別展・茨城県陶芸美術館賞」、東日本伝統工芸展「三越伊勢丹賞」、陶美展「優秀賞・インテリアアクア賞」、日本伝統工芸展「日本工芸会奨励賞」である。これらの受賞によって、星野は陶芸家として広く知られることになったが、それまでの道程は、決して順風萬帆ではなかった。

   星野は横浜市立大学商学部を卒業後、一度社会人になり、28歳の時に陶芸家を目指して京都府立陶工高等技術専門校成形科に入学、修了後は京都五条坂の陶芸家・猪飼祐一に師事した。猪飼は、灰釉と青磁を中心に制作する作家である。弟子時代は、生粋の京都人作家たちとのセンスの差を痛感し、大きな挫折感を味わったという。2007年、東京国分寺で独立後は師匠と同じ陶器を中心に制作するも、どうしても師匠の作風に類似してしまうことから、思い切って磁器に切り替えることを決断。その変換の切っ掛けとなったのが、2012年の第59回日本伝統工芸展に出品した<青白磁紅彩鉢>である。この作品は、裾から口縁に向かって広がる青白磁の鉢の裾の部分に辰砂の赤を組み合わせたもので、本人が「その作品との対比で、もう一つ違う切り口から作品が作れないかと考え、ピンクの練上と胴繋ぎを組み合わせた『練継(ねりつぎ)』作品にたどり着きました」というものである。

   この<青白磁紅彩鉢>がヒントとなって、「練上(ねりあげ)」と「胴継(どうつぎ)」を組み合わせた星野独自の「練継」技法が完成した。「練継」は星野の造語である。磁器土にピンクの顔料を練り込んだパーツと、磁器土単味のパーツをロクロで別々に成形してから両方を接続し、乾燥後に表面や口縁をカンナで削り出すことで、錬り込み模様に変化がつき、緊張感溢れる作品が誕生する。星野作品の魅力は、その螺旋に伸びる力強いフォルムと、余白と模様の見事なバランスにある。

   これまで星野は、鉢や壺といった器の純粋造形を追求してきたが、今展の「人シリーズ」は、それらとは明らかに異なり“人間をテーマ”としているのが面白い。今展では、女性ならではの肢体のしなやかさ、フォルムのなまめかしさ、逞しく、エネルギッシュで魅力的な女性といったものがイメージされており、これまでにない躍動感やほのかな色香が匂い発っている。それは、とても魅力的である。しかし、そうした外形のみならず、もっと人間の内面をも形に現わしたいと、星野はいう。それは、星野がこれまで無意識に求めていたものが、やっと一つ殻を破って、形に現われはじめた兆しなのかも知れない。今後の展開が楽しみである。


森 孝一(美術評論家・日本陶磁協会常任理事)


作家略歴
1976 山梨県甲府市生まれ
1999 横浜市立大学商学部卒業  
人材サービス企業に5年間勤務
2005 京都府立陶工高等技術専門校成型科 修了
猪飼祐一氏に師事
2006 第35回日本伝統工芸近畿展 初入選
2007 東京都国分寺市にて独立
2010 第50回東日本伝統工芸展 初入選(以降2011〜17年)
第57回日本伝統工芸展 初入選(以降2012、13、14、15、17年)
2013 第5回菊池ビエンナーレ奨励賞
第22回日本陶芸展 特別賞・茨城県陶芸美術館賞(以後、第23、24回入選)
第1回陶美展優秀賞・札幌インテリアアクア賞
第53回東日本伝統工芸展三越伊勢丹賞
第60回日本伝統工芸展 日本工芸会奨励賞
日本工芸会正会員認定
2014 『練継花器』茨城県陶芸美術館収蔵
初個展(日本橋三越本店アートスクエア)
2015 個展(柿傳ギャラリー/新宿)
第8回現代茶陶展入選(以降2016年)
日本工芸会東日本・東海選抜展『伝統工芸の現在性』(MOA美術館/熱海)
2016 個展(MIZEN Fine Art/パリ)
『陶美展受賞者による 未来のカタチ』展(日本橋島屋)
『現代陶芸・案内(ガイド)』展(茨城県陶芸美術館/笠間)
個展『白磁に紅』(岡島百貨店/甲府)
2017 「『進化する磁器』展(茨城県陶芸美術館/笠間)
個展『桜の下のロンド』(柿傳ギャラリー/新宿)
個展(福岡三越)
第7回菊池ビエンナーレ入選

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