A 手めがねの穴をのぞく
誰もが子どもの頃に手めがねをのぞいて、よく見知ったものを暗い穴越しに見ると違ったもののように感じた体験があるのではないでしょうか。堀口は自らのそうした体験から、対象に対しての興味や、じっくりとものを見ることの重要性を制作テーマとしています。また、すべての穴をひとつひとつ手で彫ることにこだわっています。手めがねの象徴としての穴を彫りながら、のぞいた向こう側に何が見えるのか想像する、ワクワク感を未だ味わっているのかもしれません。
B 幾何学形態の小品
堀口彩花は、陶芸の技法を大阪芸術大学大学院で学びました。本展出品される「Consious」(2013)は修了制作展にも出品された作品です。このシリーズは2010年より制作され、本展ではここまでに至る掘口の小品5点も合わせて展示します。小品は大きなもので40cm四方ですが、陶土を立方体にして、その内側から削っていって生まれた直線的な作品や、部分的に切り取ったようなかたちなど、幾何学形態の美しさが見られます。