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「小さな家」



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 フランスの建築家、ル・コルビュジエは20世紀の最大にして最高の建築家である、ということに異議を唱える人は少ないのではないだろうか。建築の専門家でなく、彼が何者であるのか詳しく知らないにしても、彼の名前を耳にしたり、見たりしたことがある人が多いと思う(恥ずかしながら、この紹介文を書いている私自身の知識は、彼が国立西洋美術館の設計者であるということと、彼の作品である有名な住宅からは雨漏りがして大変だったという程度だった)。

 彼は画家・詩人でもあり、活躍の場が広いだけ世の中への影響力も大きかった。彼自身の著作も多いが、彼と彼の作品に関する著作もまた膨大に存在する。



 ここに紹介する「小さな家」は、ル・コルビュジエ自身の手になる作品である。スイスのレマン湖ほとりに1923年に建てられた、隠居する両親のための家に関する短い記述であり、ル・コルビュジエ自身のイラストとデッサン、そして写真がともに掲載されている。



 とても平易に書かれており(私達が読むのは翻訳であるが)、するりと読めてしまう。素人目線では主に以下の2点が読み取れた

 1.両親のためにという非常に個人的な目的で作られた作品であるためか、この家に対する愛情を言葉の隅々から感じ取ることができる。

2.建築家(ル・コルビュジエ)が作品の細部にわたるまで風景との調和や効果を考えていた。



 装飾のないコンクリートの四角い家に住みたいかどうかは個人の趣味の問題だが、建築家の様々な工夫を本人の解説で読めるということは、作品を理解する上で非常に意義深い。ル・コルビュジエについて興味がある方には入門書として読んでいただけると思う。専門家の方が読む場合には、随所にル・コルビュジエの特徴を見出すことができ、より含蓄のある深い作品なのではないかとも思う。





「小さな家」/ル・コルビュジエ著/森田一敏訳/集文社(1980年)/¥1,500+税




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