お知らせ&トピックス


LIXIL ブックギャラリー 関連書フェアを開催します。
LIXIL出版の『食と建築土木』が「第5回辻静雄食文化賞」受賞

syokubunnka.jpg
 TBSで「料理天国」というテレビ番組が放送されていたのをご存知でしょうか。1975年から1992年まで17年の長きに渡り、当時の日本ではまだ珍しい料理を紹介し、ゲストが試食する番組でした。

 フランス料理店が今ほど身近になかった当時、番組で時折取り上げられたフランス料理は庶民にとって「手の届かない遠い世界の料理」でした。見た目の美しさと繊細さ、時にフライパンから炎が上がる(今では多くの人が「フランベ」という言葉を知っていますが)様子に、多くの視聴者がくぎ付けになりました。番組の司会者だった芳村真理が「まあ素晴しい!」と感嘆の声を上げれば、会場からも「おお!」と驚くどよめきが起こる。数々の紹介された料理や調理の様子は、当時の私達を驚かせるのに十分でした。
 その料理を提供し、レシピや調理法を考案・監修していたのが、辻静雄(1933〜1993年)でした。単なる洋食を超えた「フランス料理」のシェフを数多く生んだ辻調理師専門学校(大阪市阿倍野区)の創設者であり、番組「料理天国」で腕を振るっていたのも同校出身のシェフたちでした。
 辻は、本物のフランス料理を日本に「移植」して普及させ、日本の料理シーンを変えるに多大なる貢献をした人物です。その功績は、日本人で初めてフランス最優秀料理人賞を受賞、さらにフランス教育功労章シュヴァリエ章とフランス農事功労勲章オフィシエ章を授与されています。

 その 辻静雄による食文化の普及活動を記念し、2010年に辻調理師専門学校グループが創設した「辻静雄食文化賞」。よりよい「食」を目指した食文化の紹介に目覚しい活躍をみせ、新しい世界を築き上げた作品や個人・団体の活動に対して贈られる賞に、このたび、LIXIL出版(東京都中央区)が2013年に刊行した「食と建築土木」(後藤治、二村悟著)が選ばれました。


 同書は副題に「たべものをつくる建築土木(しかけ)」とあるように、日本各地で独特の農林水産品を作るための「建築」を、特産品の写真や、美しい版画の挿絵などとともに紹介しています。
http://www1.lixil.co.jp/publish/book/detail/d_86480007.html

 丸干し大根を作る宮崎県の大根櫓(やぐら)、静岡県の階段状ワサビ田、沖縄県の魚垣(かき)などなど――。取り上げた23の施設が「建築」と呼べるのかと考える人もあるでしょう。しかし、建築家の藤森照信氏は「これは『建築家なしの建築』の以前。建築の本質のひとつである」と評します。著者・後藤治氏も「地域性があり、農林漁業者の手で繰り返し作られ、維持管理の手が入れられたりしているものが魅力的」だと言います。また、「人間は単なる味覚だけではなく雰囲気も味わっているんですね。だからこんなものを作ってこんな作り方をしているというのをセットにして伝えることが、かたちのない味を表現するのに大事かなと。」とも述べています。


 本賞の受賞に合わせて、LIXILブックギャラリーでは関連書のフェアを開催します。辻静雄の生涯を伝える海老沢泰久「美味礼讃」のほか、その人生に大きな影響を与えたフランス人ブリア・サヴァランの著作「美味礼讃」なども紹介します。
 また、食に関しては、ガストロノミーに関するエッセイや、民俗学的食物に関する本を集めています。受賞作の著者後藤氏と本書中で対談している作家の島村奈津氏「スローフードな人生―イタリアの食卓から始まる」「スローな未来へ――小さな町づくりが暮らしを変える」。建築に関しては、民俗学者、建築家として知られる今和次郎の著作や、もう一人の対談者である藤森照信氏の「人類と建築の歴史」など、多数の関連書を展示します。

ぜひお立ち寄りください。

ページの先頭へ

LIXIL Link to Good Living

Copyright © LIXIL Corporation. All rights reserved.